エルベ川に沿って広がるドイツきっての古都ドレスデン。壮麗なバロック様式の歴史建造物と、周囲の自然が織りなす美しい景観は、あの文豪ゲーテをして「エルベのフィレンツェ」と言わしめたほど。波瀾万丈の歴史から見事復活を遂げたザクセンの宝石は、建都800年を迎えて、ますます輝きを放っています。
15世紀後半、ザクセン選帝侯の宮廷所在地として栄えたドレスデンは、アウグスト強王(1670〜1733)の時代にその最盛期を迎えます。王は経済・産業の振興を図るとともに、バロック様式の都市建設や文化芸術の発展に情熱を注ぎました。欧州初となる白磁(マイセン)の製作に成功したのもこの頃。第二次大戦で壊滅的な打撃を受けましたが、不死鳥のように蘇り、往時の美しさを取り戻しつつあります。
エルベ川南側の旧市街には「バロックの都」の面影を伝える見どころがぎっしり。世界屈指の陶磁器・絵画コレクションを擁するツヴィンガー宮殿、膨大な財宝が並ぶドレスデン城は、ザクセン王家栄華の証。ワーグナーが「タンホイザー」を初演したゼンパーオーパー、戦災を免れたマイセン磁器の壁画、川沿いの散歩道ブリュールのテラスも必見。そして、忘れてはならないのが、再建されたフラウエン教会。釣鐘型のドームを戴く、慈愛に満ちたシルエットが印象的です。
(2004年、世界遺産「ドレスデン・エルベ渓谷」として登録されるも2005年に新しいコンクリート橋の建設が決定すると、景観の保護が損なわれるとされ、2009年には登録抹消)
君主の行列壁画
ツヴィンガー宮殿
アルテマイスター絵画館
フラウエン教会
カトリック旧宮廷教会
ブリュールのテラス
|