19世紀末〜20世紀初頭、カタルーニャ地方で興った芸術復興運動モデルニスモ。その一翼を担ったのが、スペインを代表する建築家アントニ・ガウディです。自然界にモチーフを求め、曲線を多用した独創的なデザインは、まさしく芸術。感性の赴くままに表現されたかに見える奇妙な造形も、実は構造力学的な合理性に裏打ちされたものでした。
晩年のガウディが心血を注いだサグラダ・ファミリア。キリストの生涯を描いたこの壮大な教会は、信者からの寄進と拝観料だけで建設費用が賄われているため、世紀をまたいだ現在もなお工事が続けられています。生誕の門に続き、受難の門もついに完成し、残すは栄光の門のみ。2026年頃と見込まれる落成を世界中が待ちわびています。
エウセビオ・グエルは、ガウディの才能に惚れ込んだ資産家。彼が夢見た都市計画は頓挫してしまいましたが、その代わりに私たちはグエル公園というすばらしい憩いの場を手に入れました。地下には巨大な貯水槽があり、トカゲのオブジェはその噴き出し口。波打つ破砕タイルのベンチからは、市街地が一望のもとに見渡せます。
住宅建築ではグエル邸のほか、ラ・ペドレラ(石切場)の異名をとるカサ・ミラ、海底洞窟をイメージしたカサ・バトリョなどは必見。類い希なる発想の豊かさに改めて驚かされることでしょう。彼の世界観に触れるためにだけバルセロナを訪れる価値は大いにあるでしょう。
サグラダ・ファミリア
グエル公園
グエル邸
|