カッパドキアにあるパシャバー(Paşabağ)地区は、きのこのような(あるいは帽子を被ったような)形をした「妖精の煙突」(
Fairy Chimneys)と呼ばれる奇岩群が並ぶ有名な観光スポットです。パシャバー地区にある「妖精の煙突」は、この岩に妖精が住んでいるという言い伝えからその名が付けられました。
しかし、実際にこのきのこ岩に住んでいたのは、ビザンチン時代のキリスト教の修道士であった聖シメオンです。彼は、奇岩の内部をくり抜いて空間を作って隠れ住み、人知れず信仰を深めていたのです。そのため、現地では「修道士の谷(Monks
Valley)」という愛称でも呼ばれます。
大自然の驚異ともいえる奇岩群が立ち並ぶ光景が有名なカッパドキアですが、実は初期キリスト教発展にも重要な役割を果たした地でもあります。そのため、自然遺産と文化遺産の性質を兼ね備えた、世界でも珍しい複合遺産としてユネスコに登録されているのです。
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