シントラの王宮は夏の離宮として、19世紀後半まで実際に使われていたため、中世の王宮にも関わらず、非常に良い状態で保存されています。1415年頃から建てられ、その後も改築をされながら使われてきた宮殿ですが、マヌエル様式の中央中庭のアラジョアニーナーは最初の建築で建てられたものです。1400年代後半から1500年代にかけて、ゴシック様式、ルネッサンス様式の装飾が付け加えられています。また、1500年代初頭にアラ・マヌエリーナの増築がなされ、ほぼ現在の姿となりました。とはいえ、その後も装飾や絵画は時代時代のものが付け加えられ、イスラムの影響を受けたムハデム様式のタイルによる歩廊等が作られています。建物の外観は、比較的質素に見えますが、中に入ると非常に豪華な調度品や装飾が見られます。すべての白鳥が王冠をつけ違うポーズで描かれている白鳥の間、ドーム型の天井にポルトガル貴族の紋章が飾られている紋章の間、尾の向きがそろえられた三角のペアのカササギを幾何学的に並べたカササギの間、人魚の間、アラブの間、ジュリオ・セザル(ジュリアスシーザー)の間といった広間とたくさんの豪華な部屋があります。また、鯉の置物から、金色の地球儀まで、時代と国が混在したような不思議な空間を楽しむことができます。 |