言い伝えによれば、4世紀にパレスチナのナザレから一人の聖職者が聖母マリア像を持ち込んだことにちなんで町の名がついたという。
ナザレは、絵のように美しい海辺の村として町を売り込み、人気の観光地となった。大西洋に面し、長い砂浜を持ち、夏期には観光客で混雑する(ポルトガルでも良質の砂浜とされる)。一方で、ナザレは漁民によって編まれる伝統的衣装も知られる。既婚女性たちは黒衣を着込み、伝統的なスカーフで頭部を覆い、刺繍をほどこしたエプロンを多色使いのフランネルのスカートの上に重ねる。これらの装束は今も時折見られる。
ナザレは、銀の海岸(コスタ・デ・プラタ)に面したポルトガル屈指のリゾート地で、ポルトガル人をはじめヨーローパ各地から観光客が訪れます。
(写真下段):ノッサセニョーラダナザレ教会
ノッサ・セニョーラ・ダ・ナザレ教会現在の教会の姿は17世紀のものです。もともとは14世紀、ナザレの聖母をまつって建てられたものですが、民衆の間で信仰が高まるにつれ、多くの祭礼や巡礼を受け入れるには手狭となったため、改築が行われて現在の姿となるにいたりました。教会は、聖母出現の奇跡があった場所に近いシティオ(Sítio)にあります。2つの鐘楼がそびえる巨大なファサードは、わきに2棟の建物をひかえています。これは病院とかつての宮殿で、王族や高位の臣下がこの地を訪れた際に宿泊したところです。
内部でまず目を奪うのが、内陣をおおう17世紀オランダのアズレージョです。また、奇跡の物語を描いた聖具室の絵画も見事です。原初より伝わるものとされるナザレの聖母像は教会祭壇に安置され、毎年9月8日には盛大な祭礼が行われます。
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