ポルトガルが最も輝いていた時代の記念碑的な建物がジェロニモス修道院です。ジェロニモス修道院は、マヌエル1世の命により、天文台や航海学校の創設、航海技術の開発に力を注いだエンリケ航海王子の功績とインド洋航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマの偉業に敬意を払い、また航海の安全を祈願して建設されました。
ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見により、ポルトガルは、インド、アフリカ、東南アジアから金や香辛料などが続々と集まるようになりました。結果、ポルトガルは莫大な利益を得ます。その潤沢な資金を惜しげもなくつぎ込んだジェロニモス修道院は、豪華絢爛な修道院となりました。
ジェロニモス修道院の着工は1502年に始まり、1551年には主要部分が完成しましたが、工事が完全に終了するのはそれから1世紀後のことでした。
ジェロニモス修道院の壮麗な南門には、ジョアン・デ・カスティーリョの作といわれる24体の聖人や高位聖職者の像、紋章などの彫刻で覆われ、中央にエンリケ航海王子の像、頂きには、ベツレヘムの聖母の像も掲げられています。また、ティンパヌム(扉や窓の上のアーチ状に囲まれた部分)には、修道院の名前にもなった聖ヒエロニムス(ポルトガル語でジェロニモス)の生涯が描かれています。南門は、マヌエル様式の最高傑作の一つといわれ、1581年にポルトガルを訪れた天正遣欧少年使節団も、この南門を見て驚愕したといいます。
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