ポルトガル ベレンの塔@リスボン



ベレンの塔建設の指揮をとったのは、フランシスコ・デ・アルーダ。1515年に着工し、5年後の1520年に完成した要塞は、6層からなるマヌエル様式の塔です。 天球儀や、ロープ、海草、貝など船や海に関したマヌエル様式の装飾が随所に施されています。
なかでも日を引くのは、胸壁に沿わせたロープとその結び日。これらが、塔の印象をさらに柔らかいものにしている一方、北アフリカの要塞をいくつか建設したアルーダ独特の手法で、イスラム風の色合いが濃い仕上がりになっているのも特徴的です。
特に塔のすべての角に設置された監視塔の丸屋根や、胸壁の文様に見られるムデハル様式は、建設当時は斬新なものでした。
ベレンの塔の地下には潮流により海水が入り込む水牢が設けられ、政変のたびに高位高官が数知れず幽閉されたという一面もあります。
スペイン王フェリペ2世とクラート修道院長の間でポルトガル王位継承が争われた時、 敗退したクラート修道院長を擁護したポルト司教ドン・ペドロ・ダ・クーニャもここで最期を迎えました。その後、年の長きにわたり、ポルトガルはスペイン王の支配を受け、ベレンの塔の水牢も頻繁に使用されることになりました。


 

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