古都メクネスは、モロッコの首都ラバトから東に130km、フェズの西60kmの平野に位置する都市です。古都といっても、現在も約53万人の人びとが暮らしています。1666年現在につながる王朝が樹立し、最初の都が築かれた場所でした。
気候が温暖で水に恵まれたこの土地には、もともとベルベル人が町を築いていましたが、国王ムーレイ・イスマイルが大改造をはかりました。17世紀後半、ムーレイ・イスマイルは当時強大な力を持っていたヨーロッパ諸国と国交を結び、メクネスをフランスのベルサイユのような町にしたいと考えていました。
捕虜や囚人を使って古い町を破壊し、城壁を築き巨大な貯水池も建設しました。1万2千頭の馬のためのきゅう舎も備えたこの都の完成を見ることなく、ムーレイは残念ながら他界します。その後、即位した息子も50年という短期間で遷都し、メクネスは当時の姿を今に伝えています。
写真左下:「ムーレイ・イスマイル廟」
ムーレイ・イスマイルは、17世紀のアラウィー朝のスルタンで、都をフェズからメクネスへ移した。彼は町を大きく改造し、多くの建物を造った。ここはそのムーレイ・イスマイルが眠る廟で、いくつもの部屋や中庭がある。
写真右下:「エル・マンスール門」
アラウィー朝のスルタン、ムーレイ・イスマイルの治世に建築が始まり、彼の死後の1732年に息子によって完成した門。名前の由来は、イスラム教に改宗したキリスト教徒のマンスールが設計したからという。(改修工事中)
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