ヨルダン ネポ山



申命記の最後にいたる章によると、ネボ山は神がイスラエルの民に与えられた約束の地をヘブライ人の預言者モーセに眺望させた場所とされる(申命記32章49節)。そして、モーセはモアブの平野からネボ山、エリコの向かいにあるピスガ(英語版)の頂へと登った(申命記34章1節)。

キリスト教の伝承によれば、モーセは神によってこの山に埋葬されたが、モーセの永眠の地は不明である。イスラームの伝承でもまた同様にいわれているが、モーセの墓所はユダヤの荒野のうち、エリコの南 11km、エルサレムの東 20kmに位置するマカーム・ナビ・ムサ (Maqam El-Nabi Musa) であるともされる。ナビ・ムサはモーセの意である。学者は、現在ネボ山として知られているこの山が、モーセ五書に示された山と同じであるかどうかの議論を続けている。

2000年3月20日、ヨハネ・パウロ2世は聖地への巡礼の中で、ヨルダンで最も重要なキリスト教霊場の1つであるネボ山を訪れた。訪問時、ヨハネ・パウロ2世はビザンティン様式の礼拝堂の側に、平和の象徴としてオリーブの樹を植えた。

教皇ベネディクト16世は、2009年5月9日にこの地を訪れて演説し、エルサレムの方向を山頂から眺望した。

山頂にある蛇のような十字架の造形物(青銅の蛇の記念碑)は、イタリアの芸術家ジョヴァンニ・ファントーニにより作成された。それはモーセが荒野で作った青銅の蛇(民数記21章4-9節)とイエスが磔刑にされた十字架(ヨハネ3章14節)を象徴している。


 

目次へもどる

直線上に配置