【世界遺産】マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園
(The Sassi and the Park of the Rupestrian Churches of Matera)
イタリア南部に位置する町マテーラは、グラヴィーナ渓谷の斜面の岩肌を掘って造られたサッシ(サッシとは岩を意味するイタリア語サッソの複数形)と呼ばれる洞窟住居群が約3000から4000あり、何層にも重なって渓谷を埋め尽くす壮観な景色が広がります。このマテーラの歴史は古く、この地に人類が住み着いたのは約7000年前と言われています。
8世紀から13世紀にかけ、イスラム勢力の迫害を逃れたキリスト教徒の修道士たちは、洞窟内に130余りの教会や住居を造り、この地に移り住むようになります。15世紀には地中海交易により繁栄し、その後1663年には、当時所属していたプッリャ州オートランドからバジリカータ州に吸収されると同時に州都となり、最盛期を迎えます。しかし、1806年に州都がポテンツァに移動し、行政機能が失われると、町は徐々に衰退していきました。また人口の増加による住居の不足もあって、多くの貧しい人々は家畜とともに暮らすのを余儀なくされ、衛生面の悪化による死亡者が多発するほど深刻なものでした。この状況を見かねた政府は、1954年に法整備となる特別法を出し、都市調整計画に基づいて建設された新市街地へ住民を強制的に移住させました。結果、サッシ地区は無人の廃墟と化し、政府が保有する地区となったのです。
こうした歴史背景を持つサッシ地区は、中心にあたる「チビタ」、そこから南北に分かれて「サッソ・カヴェオーソ」、「サッソ・バリサーノ」の3つに分かれます。チビタ地区にはロマネスク様式の大聖堂、ドゥオモがあり、その広場から眺めるサッソ・バリサーノ地区の眺めは圧巻です。またサッソ・カヴェオーソ地区にはマドンナ・デ・イドリス教会をはじめ一見の価値ある洞窟教会が建ち並びます。
近年はサッシの文化的・芸術的な価値が見直され、1993年の文化遺産への登録を契機に官民共同でサッシの保存・再開発が進んでいます。
マドンナ・デ・イドリス教会(Santa Maria de Idris):写真右下
イタリア南部、バジリカータ州の都市マテーラにある教会。サッシと呼ばれる洞窟住居があるサッソカベオーゾ地区に位置する。岩盤を掘り抜いて造られた典型的な洞窟教会の一として知られる。12世紀から17世紀頃までに描かれたフレスコ画が残っている。1993年に「マテーラの洞窟住居」として世界遺産(文化遺産)に登録された。マドンナデッリドリス教会。
<ツアー参加中でもあり外観のみ撮影。近くに見えるが行くのが大変。どうやら拝観有料。加えて「洞窟教会の中は、意外に狭く、撮影禁止」のようです。>
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