サン・ジョヴァンニ洗礼堂



「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」 (Battistero di San Giovanni)

「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」は、​サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に付属する洗礼堂で、11〜12世紀に建てられた、大聖堂の正面に向き合って立つ八角形の建物。ロマネスク様式の最も重要な教会建築のひとつといわれています。聖ジョヴァンニ(洗礼者ヨハネ)に捧げられたもので、正面のドゥオーモが完成するまでは、聖堂としても使われていました。
このサン・ジョヴァンニ洗礼堂は、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を構成する3つの建物(ドゥオーモ、ジョットの鐘楼、そしてこの洗礼堂)のうち、最も古いロマネスク建築といわれていて、起源は4〜5世紀までさかのぼります。完成は1202年で、屋根部分はすでに1128年に、そして頂頭部のランターンは1150年には完成していました。
正面には、旧聖堂のサンタ・レパラータ教会がありましたら、この洗礼堂に比べて見劣りするという理由から、この洗礼堂が礼拝堂として使用されていましたが、現在みることができるフィレンツェの象徴でもあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が完成したことで、この洗礼堂は、礼拝堂に入る前に洗礼を施す洗礼堂としての役割を担うようになりました。
ダンテ・アリギエーリも、このサン・ジョヴァンニ洗礼堂で洗礼を受けたといわれていますが、彼は、「神曲」地獄編で、「わが美しき聖ジョヴァンニ」と言及しています。
また、この洗礼堂には、3つの扉が設置されていますが、中でも、ギベルティ作の東側の扉は、ミケランジェロが「天国の扉」と賞賛したことで有名な扉です。また、北側の扉の製作をめぐって行われたコンクールは、ルネサンス美術の幕開けと位置づけられています。高内部も、聖ジョヴァンニの生涯や、旧約聖書の「最後の審判」などを描いたビザンチン風のモザイク画が見事に描かれています。


 


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