【世界遺産(自然遺産)】エトナ山(Etna)
エトナ山はシチリア島東部に位置する標高3,326m(2018年時点。推薦時3,335m)の活火山で、アルプス以南のイタリアでもっとも高く、地中海の島々の中でも最高峰となる。世界でもっとも活発な成層火山(ひとつの火口から噴火する円錐形の火山)のひとつで、2,700年の記録を持ち、もっともよく研究・監視されている火山でもある。
シチリア島は南イタリアのギリシア人勢力圏マグナ・グラエキアの要衝だったことからエトナ山はさまざまなギリシア神話や記録に登場する。伝説によると、女神アテナが巨人エンケラドスを打ち破ってシチリア島の地下に封印したが、エンケラドスが暴れるたびに噴火するのだという。あるいは主神ゼウスが怪物テュポーンを破って封印した場所ともされる。また、風の神アイオロスや鍛冶の神ヘパイストスが活動する場所であり、奈落の神タルタロスが管理する地獄への入口があるともいわれる。
ギリシア人たちはエトナ山を古くから記録しており、歴史家トゥキディデスやディオドロス、詩人ピンダーらの作品に登場する。哲学者エンペドクレスは紀元前5世紀に山を訪れて研究を行い、火口で死亡したとされる(異説あり)。17世紀より科学的な研究がはじまり、19世紀には地質学者チャールズ・ライエルやザルトリウス・フォン・ヴァルタースハウゼン、カルロ・ゲメラーロ
らによって体系的な研究が進められ、地質学や火山学・地球物理学などさまざまな分野で足跡を残した。
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