ムルガンダ・クティ寺院は仏教寺院で、サルナート遺跡の東端にあります。サルナートは、ブッダ(釈迦)が悟りを開いた後初めて説法を説いたとされる場所で、仏教の四大聖地のひとつになっています。寺院の中には金色の御本尊と、日本人絵師、野生司香雪氏の手によるブッダの生涯をモチーフにした壁画があります。寺院の横には、ブッダ(紀元前463年生まれ)が悟りを開いたブッダガヤの菩提樹の子孫の木があります。その菩提樹の下にはブッダが5人の弟子たちに説法をする様子のオブジェが置かれています。ムルガンダ・クティ寺院への入場は無料ですが、靴を預かって貰うのと写真をとっててもらうののにに、お金がかかります。寺院内は、多くの観光客で混雑していて、周辺には仏教の聖地だけあって、白い服を着た仏教徒が多くいます。インド人の仏教徒は少なく、訪れる仏教徒の多くは、スリランカ、タイ、日本など他の仏教国からの修行僧です。 歴史:ムルガンダ・クティ寺院は、日本では初転法輪寺(根本香積寺)とも呼ばれ、多くの仏教徒がお金を出し合って、1931年に建立されました。 見どころ:寺院の正面には、金色に輝く仏像があります。この仏像は、サルナ−ト遺跡から出土した初転法輪像のレプリカで、そのオリジナル仏像は近くの考古学博物館に安置されています。本堂への入口前の頭上には、建立の翌年に日本から贈られた梵鐘があります。ムルガンダ・クティ寺院内部の壁には、仏陀の誕生から、悟りを開き、入滅するまでの釈迦の生涯を描いたフレスコ画が施されています。パステルカラーの淡い色合い壁画は、インド政府からの依頼を受け、インド仏教美術の研究のためインドに渡った日本人画家・野生司香雪氏が5年の歳月をかけて描いた傑作です。長い年月と暑いインドの気候に耐え、今も鮮やかなフレスコ画を、異国の地で描いた日本人が戦前にいたことに誇りを感じます。
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