インド ジャンタル・マンタル天文台



2018年3月20日(1回目)
2023年1月21日(2回目)

インドの北部、デリーの南西の地を治めていたジャイ・スィン2世によって建設された街ジャイプール。現実主義者で政治力もあった彼は、強大なムガル帝国の保護下に入ることで生き延びる道を選び、ジャイプールを繁栄に導きました。この街に2010年、世界遺産に登録されたジャンタル・マンタルはあります。

ジャイ・スィン2世は天文学にも造詣が深く、ヨーロッパやペルシャから膨大な書物を集め、天文学の粋を結集して、1728年から居城であるシティパレスの隣に天文台を建設します。ジャンタル・マンタルには、サンスクリット語で「魔法の仕掛け」という意味があります。約20の天体観測儀が一見オブジェのように並び、摩訶不思議な光景が広がります。最も目を引くのは高さ27.4mもあるサムラート・ヤントラで、これは2秒単位で時間を計測でき、子午線、天頂距離も測れる観測儀です。20秒単位で時間を測れる小型のラグ・サムラート・ヤントラもありますが、ジャイ・スィン2世は大きいほど正確な数値が得られると信じていたようです。また、ジャイ・スィン2世が発明したラーシ・ヴァラヤ・ヤントラは、それぞれが12の星座を向いた観測儀で、占星家に利用されました。

天文への飽くなき探究心と持てる英知を傾けて建設したジャンタル・マンタルは、現役施設として、280年以上経った今でも利用されています。市民からも愛されたマハラジャ、ジャイ・スィン2世の情熱は今に息づいているようです。


 

目次へもどる  目次2へもどる

直線上に配置