スイスアルプスに源を発し、ドイツを流れ北海へと注ぐ全長1,320kmものライン川。その中流上部、マインツ〜コブレンツ間の約65kmが世界文化遺産に登録されています。ドイツ人が「父なる川」と呼ぶライン川は古来、南北ヨーロッパを結ぶ大動脈として栄え、13〜14世紀には諸侯が通行税を徴収するために、こぞって城塞を築きました。今に残る30余の古城とローマ時代から続く古都、そして有名ワインを産するぶどう畑が調和した景観は、歴史的・文化的にも価値があります。
ロマンチックラインと呼ばれる世界遺産の登録エリアの中でも、特にロマンチックとされるリューデスハイム〜コブレンツ間を、観光船でゆっくりと下ってみましょう。丘に沿ってぶどう畑が広がるワインの産地リューデスハイムを出た船は、ラインで最も美しいといわれるネオゴシック様式のラインシュタイン城や、最古のライヒェンシュタイン城などの古城群を眺めて進み、やがて川幅約90mの一番の難所にして伝説の地、ローレライに差しかかります。手前の川底には「七人の乙女」と呼ばれる岩々が隠れ、行く手をふさぐように聳える高さ132mの岩塊。そこには美しい乙女が棲み、その歌声で船乗りを惑わし多くの船を座礁させたとか。
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