エジプトの首都カイロから南へ約670km、ナイル川沿いに「古代都市テーベとその墓地遺跡」はあります。ナイル川によって東西に分かれており、カルナック神殿や、ルクソール神殿がある東岸は「生者の世界」とされ、反対に王家の谷やハトシェプスト女王葬祭殿などの墓地遺跡群がある西岸は「死者の世界」とされてきました。古代エジプト人は、太陽の沈む西の先に来世があると信じていました、そのため、西岸に墓地を建設したといわれています。 この地にファラオが墓地を建設するようになったのは、紀元前1250年頃、トトメス1世が造ったことが始まりとされています。王家の谷は、険しい岩場を削って造られた岩窟墓地群です。この岩窟墓地群を「王家の谷」と名付けたのは、ヒエログラフの解読に成功し、エジプト学の父と称されるシャンポリオンです。 王家の谷には、多くのファラオの墓があります。なかでも、最も有名で世界を驚かせたのがツタンカーメンの墓です。1922年イギリスの考古学者ハワード・カーターによって発見されたツタンカーメンの墓地は、王家の谷にある他の王墓が盗掘の被害を受けていたにもかかわらず、ツタンカーメンの墓だけは、盗掘の被害を全く受けておらず2千点以上にも及ぶ副葬品が完全な状態で遺されていました。王墓で見つかった黄金のマスクは、世界で最も有名な至宝の一つとなり、世界中の人々を魅了しています。ツタンカーメンの墓で発見された副葬品は、現在、カイロのエジプト考古学博物館に展示されています。 |