ザダール(Zadar)
ザダルはアドリア海に面した、ダルマチア地方北部の中心都市。その歴史は古く、紀元前9世紀頃にイリュリア人によって築かれた集落がその起源と言われています。ダルマチア地方の他の都市と同じく紀元前3〜1世紀ごろにかけてローマ帝国の支配を受け、現在でもその遺跡(フォルムや柱)がザダル旧市街に残されています。
中世の地中海の覇権争いに巻き込まれ、その地理的条件からヴェネツィア共和国によるコンスタンティノープル(現イスタンブール)攻略の拠点とすべく、同じキリスト教国にも関わらず攻撃、占領を受けています。海に突き出た半島がそのままザダル旧市街となっていて、前述のフォルムをはじめ、聖ドナト教会(Crkva Sv. Donata)、聖マリア教会・修道院(Samostan benediktinki sv. Marije)、聖ストシャ大聖堂(Sveta Stošija)など美しい教会・聖堂が多数内部に残っています。
聖フランシスコ修道院(Franciscan Monastery) →写真上
ザダルの聖フランシスコ修道院は、1358年ヴェネツィアがダルマチア地方をハンガリー王国に譲渡する和平協定が結ばれたところ。
聖マリア教会(Church & Monastery of St. Mary) →写真右上
フォーラムの東側にある聖マリア教会は、1066年に設立されたベネディクト会の尼僧修道院です。この修道院には、金銀細工や宗教画などの美術品のコレクションがあり、芸術に関心のある観光客には見逃せないスポット!「ザダルの金と銀」というタイトルの恒久的な美術展として、教会の建物内に展示されています。
コレクションの規模は世界で3番目といわれ、絵画の中にはカラウァッジョやベネジアーノのような有名な画家の作品も含まれています。
辱めの柱(Pillar of shame)→写真左上
ザダル旧市街には、ローマ帝国にちなむ歴史観光スポット「フォーラム」があります。ここは、ザダルがローマ帝国の植民地だった時代の、統治の中心となっていたところです。
現在残っている2つの支柱のうち、1つは「辱めの柱」と呼ばれ、ローマ帝国の法律にそぐわない人物を縛って見せしめにしたそうです。フォーラムの歩道は2000年前に作られたもので、当時の状態のまま保存されています。
聖ドナト教会(Church of St. Donat)→写真下
また敷地内には、やはり石造の美しい聖ドナト教会があります。ザダルの枢機卿であった聖ドナトにちなんでつけられたものですが、現在の建物は17世紀に再建されました。聖ドナトゥス教会は、円形が特徴的なプレロマネスク様式で、9世紀に建設が開始されました。ロマネスク以前の教会では同国最大級であることに加え、独特な円形教会として知られる。優れた音響効果を活かし、毎年夏に中世、ルネサンス期の音楽祭が催される。
各教会とも内部拝観は出来ずでした。
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