【世界遺産】スプリットの史跡群とディオクレティアヌス宮殿
(Historical Complex of Split with the Palace of Diocletian)
クロアチア南部の小さな半島に位置するスプリット。アドリア海に面したその湾に、3世紀後半~4世紀初頭にかけて建設されたのがディオクレティアヌス宮殿である。古代ローマ帝国皇帝のディオクレティアヌスが退位後に隠棲するための離宮として建てたもので、高さ20m以上の城壁に囲まれた宮殿の南側は皇帝の居住区画、北側は兵士や使用人の住居として使われていた。7世紀初頭以降に廃墟となったが、後にその跡地を利用して市街が形成された。現在は旧市街そのものが、ディオクレティアヌス宮殿であるという珍しい都市設計となっている。見どころとしては、スプリットの守護聖人を祭る聖ドムイウス大聖堂など。入口にはイエスキリストの受胎告知から昇天までの物語28場面が彫り込まれた扉があり、ロマネスク様式彫刻の傑作といわれている。1979年に世界遺産に登録された。
◯大聖堂(Prvostolnica Uznesenja Blazene Djevice Marije (Sv. Dujma))
街の中心を形成するディオクレティアヌス宮殿の一部で、八角形の建物。皇帝の霊廟だったが、8世紀にキリスト教の教会に改築された。内部では貴重な教会美術品を数多く見ることができる。
◯洗礼室(ディオクレティアヌス宮殿内)(Jupiterov hram)
ディオクレティアヌス宮殿の中心にある中庭ペリスティルから西側に延びる通路の奥にある小さな建物。ディオクレティアヌス帝による最高神ユピテルにささげる神殿として建てられたが、のちに大聖堂の洗礼室として改築された。クロアチア像が彫られたプレロマネスクの洗礼盤など、小さいながらも見応えは十分。
◯宮殿の地下(Dioklecijanovi Podrumi)
ローマ時代のディオクレティアヌス帝の宮殿の地下。巨大な空間が広がっており、展示物は多くないが、幻想的な雰囲気を楽しむことができる。かつては倉庫などとして使われていたが、上階と同じ間取りをしていたとみられることから、1700年ほど前の皇帝の住居部分の姿も推測することができるという。
|