イエス・キリストが紀元後1世紀前半に「至福の教え」(マタイによる福音書5章3節から10節まで)を含む「山上の垂訓」を行った場所は、イスラエルのどこであったかはっきりしない。イエスがその宣教初期に活躍したガリラヤ湖の北西岸にはいくつかの小高い山があり、そのひとつが伝統的に「至福の教えの山」(Mount of the Beatitudes)と呼ばれ、そこに「ベアティテューズの教会」(Church of the Beatitudes)が建てられている。もともとラテン語起源の「ベアティテューズ」の日本語訳が各宗派、時代によって「八福の教え」、「真福八端」、「真福九端」などいろいろあるために、日本の旅行ガイドブックのみ、この教会は「山上の垂訓教会」と呼ばれている。 「至福の教え」は彼とその弟子たちの教えを記録した『新約聖書』の中の「マタイによる福音書」の「山上の垂訓」の冒頭(5章)にある。 5章1節 イエスはこの群衆を見て、山に登り、座につかれると、弟子たちがみもとに近寄ってきた。 2 そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて言われた。 3 こころの貧しい人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 4 悲しんでいる人たちは、さいわいである、彼らは慰められるであろう。 5 柔和な人たちは、さいわいである、彼らは地を受けつぐであろう。 6 義に飢えかわいている人たちは、さいわいである、彼らは飽き足りるようになるであろう。 7 あわれみ深い人たちは、さいわいである、彼らはあわれみを受けるであろう。 8 心の清い人たちは、さいわいである、彼らは神を見るであろう。 9 平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう。 10 義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 11 わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、あなたがたに対し偽って様々の悪口を言う時には、あなたがたは、さいわいである。 12 喜び、よろこべ、天においてあなたがたの受ける報いは大きい。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。 |