パンノンハルマ大修道院



【世界遺産】パンノンハルマの千年史を持つベネディクト会修道院とその自然環境
(Millenary Benedictine Abbey of Pannonhalma and its Natural Environment)
ハンガリー北西部ジェール・モション・ショプロン県パンノンハルマ市に位置するパンノンハルマ大修道院は996年の創立と1,000年超の歴史を誇る修道院で、ハンガリー初の学校が創設され、ハンガリー語の初の文書が作成された。ハンガリーのみならず中央ヨーロッパにキリスト教ローマ・カトリックの宗教や文化を啓蒙する拠点としてありつづけ、ゴシック様式やバロック様式、新古典主義様式をはじめ中世から近代まで時代時代のスタイルをいまに伝えている。

ベネディクト派の総本山「◎パンノンハルマ大修道院」(Abbey of Pannonhalma)
起源は、初代国王の父ゲーザ公が996年にベネディクト派の修道士を呼び寄せ、修道院を建設したことに始まります。アジア系の騎馬民族を祖先にもつハンガリー人がキリスト教に改宗することで、ゲーザ公の息子がローマ教皇からイシュトヴァーン1世の称号を授かり、ハンガリーは初めて王国として建国しました。
ロマネスク様式で建てられた修道院は12世紀に焼失し、13世紀にゴシック様式で再建。その後、何世紀にもわたり増改築が繰り返され、聖堂の南側にあるロマネスク様式の扉、扉の外側をめぐるゴシック様式の回廊、18世紀に建設された主食堂の壁を飾る壮麗なフレスコ画など、各時代の特徴が見られます。また19世紀に建てられた高さ55mの時計塔は、町のシンボルにもなっています。図書館にはハンガリー最古の古文書や聖書の写本など、およそ35万冊もの蔵書が収められていますが、それは18世紀にカトリックのハプスブルク皇帝が宗教改革のためベネディクト派の活動を制限したことにより、修道士たちが教育に力を注いだことに端を発します。パンノンハルマ修道院は創設1000周年にあたる1996年、周囲に広がる豊かな森とともに世界遺産に登録されました。修道士たちが建国前から守り続け、悠久の歴史を静かに刻み続けるパンノンハルマ修道院。ハンガリー建国の礎となり、オスマン帝国の侵攻、第二次世界大戦とその後の共産主義政権など、激動の時代をくぐり抜けてきた建築物は、国の歴史そのものです。


 
   
   

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