英国の食事



A 写真上 スコッチエッグ(scotch egg)
「スコッチ」とつくからにはスコットランドの食べ物かと思っていたら、実はそうではないそう。というのも、ロンドンにある高級百貨店「フォートナム&メイソン」(F&M)がスコッチ・エッグを考え出したと公表している。
同店のアーキビスト(公文書館専門職員)、タナー博士によると、スコッチ・エッグの起源ははっきりしないものの、F&Mでは1738年ごろに販売され始めたとのこと。旅人たちのために、持ち運びやすく、栄養価が高くてお腹にたまるものとして考え出されました。当時は現在よりやや小さめの卵が、刻んだ肉と野菜を味付けしたものでくるまれていたのだとか。名前の「スコッチ」については、「切る」という意味の「scotch」からきている。

B 写真中段左 フィッシュアンドチップス(fish-and-chips)
イギリスを代表する料理の一つ。タラなどの白身魚のフライに、棒状のポテトフライを添えたもの。イングランドではファストフードとして親しまれ、国民食の長い歴史がある。フィッシュ・アンド・チップスの正確な起源は不明であるが、ヴィクトリア朝期に多数存在したホット・パイ・ショップが発祥だと推測されている。ホット・パイ・ショップではパイ以外に魚のフライとチップスも売られていたが、次第にパイではなく魚のフライとチップスが中心になったと考えられている。魚のフライとチップスを提供する店は「フィッシュ・アンド・チップス」と呼ばれ、そこで出される料理そのものも店と同じ名前で呼ばれた。

C 写真下段左 アフタヌーン・ティー(Afternoon Tea)
上段には旬のフルーツを使用したタルトやムース、マカロン。中段は冷めないよう包まれたダブルバタースコーンとレモンドリズルスコーン。下段は「キューカンバー&クリームチーズ」などの3種のサンドイッチとソーセージロール。
19世紀、ヴィクトリア朝時代のイギリス。当時の貴族は、イングリッシュ・ブレックファストと呼ばれる遅めの朝食をいただいた後は、夕食まで何も口にしないという、一日2食の生活を送っていました。そんななか、昼間の空腹をしのぐため、ある貴婦人が使用人にお茶と軽食を自室に運ばせることを思いつきます。彼女の名はアンナ・マリア。第7代ベッドフォード公爵夫人として王室に仕えたこともある、名門貴族の女性です。
やがて社交家であった彼女はこの自分だけの密かなひとときに友人や知人を招き始めました。紅茶は大きなポットで出され、軽食とともに片手でつまめるスイーツなどもテーブルに並ぶようになりました。この貴婦人たちの午後のお茶会が、アフタヌーンティーの起源であるといわれています。

D 写真中段右 イングリッシュ・ブレックファースト(English breakfast)
その起源は、中世のカントリーハウスでの大地主の朝食まで遡ると言われる、英国を代表する料理。ベーコンに目玉焼き、ベイクド・ビーンズ、マッシュルーム、トマトにベーコンやソーセージなどをトーストと共にいただくものが定番。産業革命の際に、労働者階級に向けて夕方まで持つような、たっぷり食べられる朝食として定着しました。衛生環境が悪かったその頃の名残で、一度全て加熱調理しているのも特徴です。
<どのホテルに泊まっても基本構成品目がほぼ変わらないのは驚きでした>

E 写真中段 ローストビーフ(Roast beef)
ローストビーフは伝統的に日曜日の午後に食べる昼食(サンデーロースト)のメインディッシュとして扱われ、この際にはヨークシャー・プディングを添える。もっともかつての貧しい家庭においては、ヨークシャー・プディングの量を増やして腹を満たし、ローストビーフの量を節約する事があり、実質上、主食と副食の関係が逆転する場合もあった。
「ヨークシャー・プディング」 (Yorkshire pudding) イギリスのヨークシャー地方で生まれ、ローストビーフの定番付け合わせ、膨らんだシュークリームの皮のようなもの。グレイヴィ―・ソースをたっぷりかけていただきます。

F 写真下段右 ジンジャー・ビール(Ginger Beer)
ジンジャービール、名前の通り生姜味の飲み物だが、基本、ノンアルコール飲料水。
英国の植民地で生産されていた生姜は、英国に渡って、ビスケットといったお菓子や飲料水に使われているのが面白い。ジンジャービールは、生姜に酵母、砂糖の自然発酵によって生産されたのが始まり。よく似た名前、ジンジャーエールとは、製法とともに味が違う。ジンジャービールは、生姜の風味が強く、スパイシーな後味が特徴だが、ジンジャーエールは、甘めの炭酸飲料といった感じで仕上がっている。




   
   

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