第28番札所
・住所:秩父市上影森675
・山号・院号・寺号:石龍山 橋立堂(せきりゅうざん はしだてどう)
・ご詠歌:霧の海 たちかさなるは 雲の波 たぐいあらじと わたる橋立
・三千女奉納額:郡司蛇身の報い
昔、この村の者が急死して閻魔王の前に行ったところ、一人の武士を引き出して「この者を知っているか」という。よく見れば自分の村の領主の郡司という人で、生まれつきよこしまな人であるので、大変驚いて敬った。冥官が言うには、「この郡司は、娑婆で大悪を尽くし、特に地蔵の像を壊したことは無間地獄に落とすべき者である。しかし、鹿を追って橋立寺に至り、矢尻で一度、燈明の灯心を掻きだして灯火を明るくした功徳によって、長い年月の間その難を免れたけれども、これから蛇身の報いを受けて娑婆に出てくる。これを知らせるためにここに呼んだのである。早く帰りなさい」という声のもと、急死した者が蘇って、里人たちにこのことを語った。
その頃よりこの霧の海という所に、悪龍が出て人や馬を喰うので、村人がこの堂に祈念したところ、御堂の中から白馬が出てきて、この龍に呑まれ、ついにその悪龍は悟りを得てとぐろをまいて石となった。その姿は今も洞中にある。それゆえにここを石龍山という。当山の奥の院は、日本に一、二を争うという霊窟である。
・由来:秩父札所28番寺の観音像は、迫り出した70m程の石灰岩の岩壁の下に建つ。三間四面、流れ向拝を付した方形銅板葺きの堂であります。秩父札所28番の本尊は、札所中唯一の馬頭観世音で、高さ26.5cm、漆箔三眼、三面三臂の坐像で鎌倉時代の逸品だが、現在三臂並びに馬頭を欠いているのが惜しまれています。秩父札所28番の馬頭観音は、六観音・八大明王の一つで、冠に馬頭をいただき、身色は赤で、いかりの相を表し、一切の魔や煩悩を打ち伏せるといいます。ところで、ここには県指定天然記念物の橋立鍾乳洞があります。洞穴の長さは130~140m、入口の高さ2.2m、幅3mで、内部には鍾乳石・石筍・石柱・岩皺など奇怪な形容で入った人を驚かせています。弘法大師の後姿、上り竜、下り竜、仁王の足などと名付けられた奇石の洞内くぐりは、子供たちはスリル満点の探検であり、大人たちにとっては魅力ある夏のひと時となります。また、札所境内から鍾乳洞にかけての一帯は、地質・鉱物・古生物・考古学の宝庫であります。(秩父札所巡りHPより)
・雑感:岩壁に本堂が建っています。奥の院は鍾乳洞の中にあるのだそうです。ご本尊は馬頭観音。左甚五郎作と言われている馬の像があります。
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