第17番札所
・住所:秩父市桜木町21-3
・山号・院号・寺号:実正山 定林寺(じっしょうざん じょうりんじ)
・ご詠歌:あらましを 思い定めし 林寺 鐘ききあえず 夢ぞさめける
・三千女奉納額:「壬生良門の家臣林太郎定元」定元は良門に追放され、定元の子、林源太良元は、空照という僧に育てられ、父の為、堂宇を建立して、定と林をとり定林寺とした。 東国で並ぶ者のない勇士である壬生良門の忠臣定元は、主人の剛悪をいさめて家財を没収された。当所に知人がいるので、はるばるここへ来たのだが、その知人は既に亡くなっていると聞いた。困り果てやむを得ず、その辺りの家にたどり着き、疲れを癒していたが、妻は長旅の疲れと行く末を案じて遂に亡くなってしまった。定元は悲しみに耐えきれず、三日の後、妻に同じく草葉の露と消えてしまった。あとには三つの子が残された。空照という沙門がそれを深く哀れみ、養い育て良い武士に仕えさせようと観音に祈ると、不思議なことにある日、良門が狩りに出た際に出会い、空照は「この子はかくかく然々の者の子です」と言うと、良門は深く嘆き、「私は忠臣である定元を失ったことを後で悔やんだ。今からこの子を林源太良元と名付けて、旧領を授け、父の功績を賞しなさい」と命じた。そして二人を館に連れてゆき、篤くもてなし、自ら『法華経』を書写して定元夫婦の菩提のため、その塚の傍らに一堂を建立した。定元の姓名にちなみ、定林寺とし、その後観音を安置して順礼の霊地となった。
・由来:壬生良門という殿様が狩りに来て近くの寺で雨宿りした。利口そうな坊主がいたので名を尋ねると以前忠言に立腹して追放した林定元の遺子なので驚いた。殿様は怒りっぽい性格だった。そこで前非を悔い林定元をともらうため建設したのがこの秩父札所17番寺と言われています。秩父札所17番は1963年に再建されたもので、ここに掛けられた銅鐘は、高さ138cm、直径77cmで、鐘の周囲全体に西国・坂東・秩父百観音の本尊を浮き彫りにし、各寺の御詠歌を刻みつけた見事な物です。この鐘の由来は、昔ある人が妊娠の身でありながら秩父巡礼に出ました。途中17番付近までくると急に産気づき、赤子を産み落としてしまいました。困り果てた女は赤子を油紙に包み、寺のほとりの沼に棄てて巡礼をつづけ、やっとのことで結願を果たしました。家へ帰ってみると、捨てた筈の赤子が土間に立っている!驚いてそこを掘ってみると土の中に定林寺のご本尊の姿が浮かびでました。女はわが身の行為を恥じ、懺悔し、その罪ほろぼしに梵鐘をつくり寄進したのがこの鐘だといいます。(秩父札所巡りHPより)
・雑感:山門無し。いかにも秩父らしい小ぶりだがどっしりした良い本堂です。
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