住所:京都府長岡京市浄土谷2 アクセス:阪急長岡天神駅〜バス 様式・作庭:坐観式庭園 文化財:府指定名勝 急峻な斜面に、十三体の御仏に見立てた大ぶりの岩が並ぶ。大日如来、薬師如来、普賢菩薩…。庭園に鎮座する仏に向けて、僧が静かに手を合わせた。西山の山中に建つ楊谷寺。平安初期の大同元(806)年開山と伝わり、弘法大師が入山した際に境内にわいたという独鈷(どっこ)水は、眼病に霊験あらたかとして広い信仰を集める。 本堂と書院の間に築かれた庭園は広さ600平方メートル余り。書院に座って眺める鑑賞式池庭で、山水が流れる池の奥に山の傾斜を利用して十三仏の景石が配置されている。随所に江戸後期の特徴があると指摘されるが、作者や作庭時期は不明だ。ただ、整然とした石の配置と、平坦な地形の京都市内では見られない技法が評価され、1987年に府の名勝に指定されている。 寺には代々、十三仏にちなんだ仏事が伝わる。大みそかから正月三が日にかけてと、7日、15日の各夜、庭園に向けた台座に灯明と雑煮を13組用意して、読経する。「岩に仏が宿っていると古人が考えた証(あかし)でしょう。現世と来世の功徳を願い毎年祈りをささげています」。日下悌宏住職(63)は話す。 池の中央には縦横3メートル程の中島が築かれ、石橋が対岸へと渡る。さらに南西側には苔(こけ)のむした沢飛石も設けられ、石を目で追う楽しみも凝らされている。 境内は小鳥がさえずり、時おり鐘の音が響く。寂寞(じゃくまく)。西奥には小さな滝組があり、裏山からの水がさらさらと池に流れ込む。石と石の間をマツやツバキ、サツキなどの樹木が埋め、四季の移ろいによって刻々と表情が変化する。毎月17日の縁日には、独鈷水を求めて多くの人々が山を登る。書院に座って一息つき、石仏に手を合わせる姿も見られる。 (京都新聞HPより) 私的満足度「★★★」:はるばるやってきたという感じですが、素晴らしいお庭でした。 |