所在地:右京区花園妙心寺山内
アクセス:JR京都駅〜バス
形式・作庭:枯山水・回遊式庭園、伝 狩野元信
文化財:国指定名勝
退蔵院は応永11年(1404)波多野出雲守重通が妙心寺第三世無因宗因禅師に帰依して建立されたお寺で、現在山内寺院40余寺中、屈指の古刹です。
室町時代に築かれた方丈庭園が有名で、狩野元信の作庭といわれ、絵画的手法を取り入れた枯山水です。また垣根を隔てて築かれた回遊式庭園は昭和の名園「余香苑」と呼ばれており、室町と昭和の庭園としての雰囲気をかもしだしています。
方丈の廊下に掛けてある「瓢鮎図」(国宝)は水墨画の祖といわれる如拙の代表作ですが、展示されているのは江戸時代の模作とのことです。(ウェブタウン京都HPより)
・余香苑
この広大な庭園は造園家中根金作氏の設計によるもので、昭和38年に着工し、3年の月日を費やして完成しました。
余香苑は伝統的な造園手法を基盤とした厳 しさの中にも優雅さを含み、京都はもとより全国でも有数の昭和の名園と言えます。構造上目立たぬ苦心が随所に払われており、正面から庭園を見渡すと、奥行
きが生まれ、庭園が広く見えることなどが例としてあげられます。
・元信の庭
室町時代の画聖狩野元信の作品で、絵画的な優美豊艶の趣を失わず、独特の風格を備えている庭園です。庭の背景には、やぶ椿、松、槇、もっこく、かなめもち
等、常緑樹を主に植え、一年中変わらない美しさ「不変の美」を求めた物と考えられます。
当時は背景に「双ヶ丘」が望め、「双ヶ丘」を借景とした奥行きのあるダイナミックな庭であると想像されます。50坪あまりの中に滝組・蓬莱島を中心に、無
駄なく石を配置して、絵画的な曲線を主流とした趣となっています。
「背景」「借景」など全てを取り去り「石」と「砂」の素材だけを残した「龍安寺石庭」の究極の作品と比べると、画家らしく絵画的で具体的で受け入れやすい
一面が感じられます。また、「枯山水庭園」が禅宗寺院の「方丈庭園」をして発展していった理由には、山・川・海・大自然のみならず『大宇宙全てを限られた広さの中で表現する』ものであったからだと言われています。このことは禅宗哲学の根本ときっても切り離せない独特の世界があるのかもしれません。
狩野元信は、室町時代後期の画聖で、父正信の創造した狩野派画法の典型をつくり基礎を確立しました。退蔵院方丈庭園「元信の庭」は、彼が画家としてもっと
も円熟した70歳近くの頃の築庭と推測されています。自分の描いた絵をもう一度立体的に表現しなおしたもので、彼の最後の作品が造園であったことで珍しい作品の一つと数えられています。
私的満足度「★★」:妙心寺も多くのお庭が観れるお寺です。(H20.10.5記)
元信の庭に写真を撮りにまた来ました。常時公開なので好きなお庭です。(H23.11.5記)
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