オブシディアン2000九州リポーツ
"野津 雄三" <knots@nttipd.co.jp>

そろそろと、打ち込み始めました。
これから、ずらずらと続きます。
暇な方は、読んでください。



待ちに待った「レイドオブシディアン2000九州」が、いよいよ始まる。事前情報で、高められた期待は、どんどんと膨らんで行く。はやく阿蘇の雄大な景色の中を走りたい。ひたすら走って充実感にひたりたい。
シリーズ戦では、シリーズチャンピオンが決まらなかったので、このオブシディアンによって、「キングオブラリースト」と、「シリーズチャンピオン」の両方が決まるのだ。

★5/2     ★5/3     ★5/4     ★5/5     ★5/6


5/2(火) 【前日:プロローグ】

 昼過ぎの飛行機で、福岡入り。福岡空港は、市の中心地から地下鉄で10分と、めちゃくちゃ近い場所にある。伊丹空港並みで、騒音問題はだいじょうぶなのか?と、心配してしまう。大橋の自転車屋「正屋」で、モネックスを受け取る。サイクルハウスイシダから正屋へ、自転車屋ネットワークである。飛行機輪行は、トラブルの元なので、できることなら佐川に頼みたい。問題は、受け取り手だが、岩崎さんにお願いしたら、快く引き受けてくれた。(パスポートは必要であったが・・・。)イシダさんに調整をしてもらったおかげで、サスペンションも良好な動き。ちょっと滑らか過ぎるかとも思えたセッティングであったが、これが、後々最高なパフォーマンスを発揮してくれるのだった。ブリヂストンのママチャリの段ボールには、モネックスの他に、ウェアやらが詰めてあり、ここまでスカスカだった60リットルのザックは、一気に満タン状態!
 ここからは、大宰府の充の家まで自走だ。幸い追い風に乗って、30分ほどで到着。去年は、クロスランドラリーの時、泊めてもらった。5分のところに四王寺山があり、MTBで走るには、なかなかの環境だ。裏山しい・・・。テラサンからの集計ソフトを確認してから博多駅に向けて出発。駅でサキムラ&裕子を拾ってから、有名な美味なもつ煮屋で食いまくり!有名な店だけあって、なかなか美味かった。そして、このあと、ぴょんきちに行ったのは言うまでもない。高梨、三浦、小寺の名古屋トリオに、途中ひとりぼっちだった品ッチ、今回のスタッフである、たっちんや磯ちゃんに木元っちゃんも大集合。たっちんの話しでは、二日目と三日目は120キロあるらしい。オブシディアン史上、最長距離ではないだろうか?おまけに、地図が全部で14枚だってさ!
 ところで、この時、既に高梨は壊れていたらしいのだが、本当に壊れていたのを知ったのは、正確に言うと、二日目かな・・・。途中の名古屋での東海チームの接待により、ノバちゃんと入れ替わったと言う噂もある。いずれにせよ、この高梨君と、パジェロで九州入りしたタモツと、僕が、シリーズチャンピオンを争っているのである。中洲に行くのを糧に4日間を走りきろうと盛りあがる三浦君達は、明日の準備がある磯ちゃん邸に去って行き、同じく、中洲の方を、遠い目で見つめるサキムラをなだめながら、僕らも充の家に帰ることにした。
 いよいよ、明日から始まる!!ワクワクして眠れない。(わけねーだろ!スグ寝たよ。)
 

5/3(水) 【SS1:地蔵の峠を越えるスペシャル】 約50Km

 今年のオブシディアンは、空港からスタートだ。ここからしてスケールが違う。去年のオブシディアンも、栃木県を一周し、かなりのスケールで、大満足だったのだが、今年は、熊本県、大分県、福岡県と、3県に渡ってコースが設定されている。そして、総距離が、約400Kmに及ぶという。みんな走りきれるのだろうか?

<集合地点まで>

 8時半頃、大宰府から熊本空港に向けて、ボルボはスタートした。それにしても、なんていう天気なんだろうか?日差しが腕に痛いくらいだ。「博多どんたく」には雨がつきものらしいが、今年は晴れるどんたくかも。すごい人出が予想される。ところが九州自動車道も、スゴイ人出だ。中央道の下り線の、八王子バスストップから首都高までの渋滞とか、そんなのに比べると全然たいしたこと無いけれど、車はノロノロ走っている。眠くなってきた。気が付くと、熊本インターだ。出口渋滞を尻目に、空港インターへと急ぐ。予想より早めに到着しそうなので、途中のスーパーで昼飯を買う。今日は、午後からスタートなので、そんなに距離はないだろう。補給食は、おにぎり二つとドラ焼きとアップルデニッシュだったか・・・。(忘れた!)
 集合地点が近づくと、ナゼか大渋滞。早くもとれとれをやることに・・・。この先1キロの交差点で、阿蘇方面への右折レーンが渋滞の元凶らしい。渡されていた地図で、ショートカットコースを確認。手前の交差点から、黒実線の農作業道を走り、問題の交差点には、左側から進入!10分くらいのタイムを稼ぐ。(だからって、ナニ?)

<スタートまで>

 熊本空港のスグ脇にある、小さな神社の境内で、ブリーフィングは始まった。どうやら、STは無さそう。林道メインのパワーコースみたい。標高差からいって、差がつくとしたら、PC2から地蔵峠までの上りだけ。PC1までの上りは、離されない程度にオトナシク走ろう。DEPARTは、ここから5キロくらい。20分もあれば着くのだが、みんな急いでとっとと行ってしまった。石丸さんや真鍋さんとのんびりと移動開始。

<エネルギー>

ところで、今回、特別に用意したエネルギーは、下記の通り。お握りやパン、ドラ焼き等は、現地で買い出しする予定。
*クリフバー : シリアル系のエナジーバーで、しっとり感があり、食べやすい。(なぜか、For Worman)
*トップテン : 昔からお馴染みのスキットルタイプのドロドロの液体。(最近のお気に入り。)
*エネルゲン : キャメルバックがオレンジになるほどの、合成着色料を使いまくったスポーツ飲料。(桂三提供)
* ヴァーム : ?木ブーでお馴染みだが、はっきり言って効果は高い。普段は皮下脂肪を大事にしており、レースの時だけ使用。(スタート前に粉を口に入れ、水で流し込む。)
* アミノバイタル : あまり使いたくないが、疲労を翌日に持ち越さないために。聞くところによると、かなり効果があるようだ。(イシダさん提供)

<SS1が始まった。>

 13:30 とうとうレイドオブシディアン九州がスタートした!今シーズン最後のラリーレイドである。みんな、ゆっくりと話しをしながら、わいわいスタートした。行っちゃったタモツと、それを追った塚ちゃんを除いてだけど・・・。余裕があるな〜って、その時は思ったけど、実は壊れていた高梨が、写真アタックを繰り返す。最初の林道への入口まで、あと1キロという地点で、爆音のような正式スタートの号砲が鳴り響いた!!(実は、辻田さんがバーストしたのだが・・・。リムが減りすぎて。)それまで広がっていた集団は、一気に一列棒状になって林道に消えて行った。(道が下っていたからなんだけど・・・。)
 ここからの林道は、一本道で迷うことなくPC1だが、それなりに荒れていて、MTBは跳ねてしまいがちだ。いつも空気圧ガンガンのタモツは大丈夫か?クニオと高梨がだんだんと離れて行く。しかし、焦ることはない。マイペースで行こう。早くも阿蘇らしい草原の風景が見え始める。青と緑のコントラストが美しい。楽しいなあ。(谷を詰めているので、草原の端っこが落ちてくるところが見える。)

<地蔵峠まで>

 予想通り、自分のペースがあがってきて、まず塚ちゃんをパス。邦雄と高梨と一緒になって、タモツをとらえ、PC1に到着。たっちんに「遅いぞー。」と言われてしまう。ペースが遅すぎたか?結局、四人のあとは、三浦君と品ッチで、塚ちゃんはさらに3分遅れらしい。いつものことながら、最初から飛ばすよなあ。いつの日か、PC1をトップで通過する事を夢見ているらしいのだが・・・。(暫定トップの夢)
 PC2までは、高速林道を飛ばして、続いて地蔵峠までの林道が始まった。距離は約8キロ。予定通り、一気にペースを上げてみる。さっきの林道とは、2段階くらいの違いか?PC1までで、「差がつくとしたら、PC3までの上りしかないよなあ。」って話しをしてたから、みんな冗談だとは思わないようだ。邦雄だけが付いてきた。邦雄は、スタート直前のパンクのために、空気圧を高める事ができなかったのが功を奏している。ハネハネのタモツに対して、相当のアドヴァンテージだろう。僕は、いつものタイヤで、いつもの空気圧。(2.6くらい?)マニトゥは、かなり柔らかいセッティングだ。お陰で、初期微動が吸収され、前輪のハネ上げが弱いため、重めのギヤでぐいぐいと行ける。途中、いくつかの林道の分岐があったが、二人だと心強い。地蔵峠手前の、林道から登山道への入口で一瞬迷ったが、登山道の看板通り、素直に進む事にする。地蔵峠に着くと、待っていたのは、阿蘇の大パノラマだった!
 やっとこさ外輪山を乗り越えたのだ。これから阿蘇の中に入りこんで行くのだ。明日、行くであろう根子岳や、噴煙をあげる中岳やらが、「おいで、おいで。」と、手を振っているように見える。残念ながら整備されてしまった階段を下ると、駐車場にミチが待っていた。

<ARRIVEまで>

 ここまで来たら、あとはアリベまでは、ほとんどが下りだ。邦雄と力を合わせて、後続との差を広げるだけだ。内輪山を眺めながら下っていくのだが、エスクードが遅い。さらに輪を掛けるように、とんでもないところで、とんでもない停め方をしてるおばチャンまでいる。勘弁して欲しいぜ。もっと快適に下りたかったなあ・・・。上り返しで、後方から車が迫ってくる。振りかえると、さっきのおばチャンだ。ひとこと文句をぶつけてやったのだが、どうやらそれが頭にきていたらしい。やたらとクラクションを鳴らしまくる。うるさいなー。追い抜かれる時、助手席に座っていた旦那さんが、頭をさげて謝ってくれていたが、きっと苦労してるんだろうなあ・・・。そう、今はGWなのだ。お盆と並んで、1年で最も危険な時期なのだ。なにがって?サンデードライバーならぬGWドライバーが、そこら中に出現するから。気を付けよう。
 PC4でバナナを一本。細い道を下ると、田圃のあぜ道のような、舗装路の迷路だ。昔は用水路だったのではナイカ?と思わせるクネクネした「直線」を、「秒を稼ぐぜ。」と、邦雄と先頭交替するが、視界が悪く、スムーズにはいかなかった。結局、磯ちゃんのいる見晴台駅には、スタートから2時間あまりで到着してしまった。あまりにあっけなくSS1が終わってしまったのでした。5分差くらいでゴールすると思っていたタモツだが、なんとPC4で、アリベと勘違いして、のんびりしてしまってたらしい。「宿に行こうと地図を見て、ここがPC4だと気付いた。」らしいが、シッカリしてくれヨ!

<阿蘇の湧水めぐり>

 ゴール後、30分ほどしてから、せっかくなので、観光地を訪れる事にする。阿蘇は、湧き水が豊富なことで有名だ。特に白川水源は、その豊富な水量で、訪れる観光客も多い。今日は、アリベからイチバン近くの、邦雄がその昔、ツーリングの途中にテントを張った、想い出の池に行ってみる事にする。それにしても、いつ見ても、水が沸いてくる場所は、不思議な感覚だ。絶対に人工的には造ることができない精密な造形。
 さて、宿への道すがら、田圃のあぜ道ルートで、記念撮影をしようとしたその時、事件は起こった!Uターンでバランスを崩した野津は、すぐ脇にいた邦雄に助けを求めて、手を伸ばした。しかし、それでバランスを崩した邦雄は、足をつこうとしたのだが、虚しく空を切り、1メートル土手の下、耕したばかりの畑に落下してしまったのだ。二人とも大怪我は無かったが、ハデに転んでしまった姿を、カメラマン高梨にフォーカスされてしまう。そのあと、牧草地のロールと根子岳をバックに、記念撮影を終え、線路を担いで越え、宿に向かった。
 本日の宿、村田屋旅館は、YHも兼業していて、その違いは料金だけで、食事に差が出るらしい。もちろん僕らは、旅館ではなく、質より量の、YH料金だよね!3杯いただきました。それにしても、なかなかの風呂で、脱衣所も一緒になっていた。そのあと、ブリーフィングでは、14枚の地図が配られた。ルートを、マーカーでなぞるだけでも、ひと苦労だ。どれだけ走るのか、見当がつかない。阿蘇を南から北に向けて、突っ切るのだ。
 

5/4(木) 【SS2:神々の大地へスペシャル】 約120km
 
 今日は、オブシディアン史上、最長の120キロのステージだ。リエゾンを加えれば、130キロに限りなく近づく。今回のハイライト的なコースを走るのだ。スタート前から、わくわくする。九州は、これで3回目で、いつも阿蘇には立寄っているが、オンロードコースしか走ったことがない。どんな阿蘇を実感できるのか、楽しみだ。これから待っているアクシデントなど、予想だにできなかった・・・。
 
<リエゾン>
 
 なんとか、お握りを3つ用意して、宿を出る。朝日を浴びた根子岳と高岳が美しい。とても清々しい気分だ。ところが、リエゾンの道が、廃道化しており、藪こぎを強いられるとは思わなかったけど・・・。ブリーフィングが必要だったぞ。そうそう、服装の説明をしておこう。昨日は、藪こぎが無いという事だったので、半袖にアームカバー、半パンツのみ。モチロン、アンダーは忘れない。今日は、距離も長いし、標高も稼ぐ、藪もあるだろう。と、いうことで、昨日と同じパターンに、薄手のタイツを重ねる。スタート直後は、涼しいくらいだ。 実走スタッフの、ミチただひとりの淋しいデパールであった。
 
<PC1まで>
 
 ここからは、根子岳と高岳の間の、日の尾峠を目指す。しかし、今日は120キロオーバーの長丁場。みんな、歓談しつつ、のんびりと集団のまま鍋の平牧場へと入って行く。牛と緑の美しい牧草地をバックに、そこら中で記念撮影が始まる。もちろん、僕もカメラマンに早替わり。しかし、塚ちゃんはすでに視界から消えていた。ミチや小寺ちゃんと最後尾を走っている。邦雄やタモツは、だいぶん先行しているだろう。コンクリート舗装を終え、ダートに入り、しばらくすると、峠に到着。景色が一新し、雄大な外輪山の向こうに九重が見える。今日は、さらにあれを越えるのだ!!緑の絨毯を縫うように走るコンクリート舗装。ちょろちょろ景色をよそ見しながら快調に下っていく。乾いた空気が肌に気持ちよい。
 街中に入り、信号待ちしてたサキムラに追いつく。「少なくとも1分は待ってる。」らしいが、たしかに交通量が多い。そう、世間では、GWなのだ。スグに信号が青に変わり、阿蘇神社をかすめて、PC1へ。ここは、田圃のど真ん中を走るが、古墳が点々としており、歴史を感じる。PC1では、浜ちゃんが待っていてくれた。4分前に邦雄と高梨とタモツが行っているらしい。(タイム差は、後日知った。)思ったより差が開いていない。まだまだ、先は長い。
 
<そろそろエンジンスタートかな?>
 
 象ヶ鼻への上りを、サキムラや品ッチ(前にいたはずなのにナゼ?)らと、ゆっくり上り始めると、これまたなぜかここにいる塚チャンが、アタックして行った。僕もエンジンがかかり始め、一人でちょっとだけ先行する事になる。勾配はきつくないが、確実に標高を稼いでいくと、広大な阿蘇のカルデラの全貌が姿を現してくる。なんというデカサだ!そして、この外輪山は台地状に広がっており、延々とうねった牧草地が広がっている。塚チャンは、300メートルほど先行しているだろうか?後方を振り返ると、500メートルくらい離れて、5〜6人の集団が見える。PC2では、島田君が、前との差を、10分くらいと教えてくれる。「そろそろ詰めておくかなあ?」ここからは、牧場を横断するダートだ。両側を柵に囲われているが、360度のパノラマには、牛や馬が点在している。ダートも踏み固められており、非常に走りやすい。あっという間に、ブリーフィングポイントの、ゲートに到着してしまった。ゲートを越えたら、右へ行くのが指定ルートだが、直進すると、PC3までのショートカットルートだ。しかし、たっちんがコースの下見で、一日中ウロウロして、結局、逆側からしかルートが発見できなかった迷路区間である。果敢にも挑戦する辻田氏の黄色い背中が見えた。塚ちゃんと一緒に右に進むと、3人に追いつく。先行して行くと、廃林道が消えている。3人は、1度ここまで来て、確認のため戻ってきたらしい。結局、集合だ。心を入れ替えるため、小便をする。ゲートから、道なりに進んで来たため、現在地を完全に把握していなかった。これは、この小ピークを担いで越えるしかない。もう、こんなところまで来ていたのか・・・。そうこうしているうちに、後方の集団にも追いつかれる。
 
<アクシデント発生!−リタイヤか?−>
 
 まさか、こんなはやくにリタイヤの危機が訪れるとは!!ホントに参った。担いだ後、谷を下っている時だった。枝打ちした杉の木の枝が散乱した作業道だ。、「ここで巻きこんだら目も当てられねえナア。」と思いながら、先行する邦雄に続いて、慎重に下る。「バキ。」っと、いやな音がした。止まってみると、リヤメカのプーリーケージが上を向いている・・・。冷や汗が出た。枝を取り除いてみるが、プーリーケージは、内側に曲がっている。ペダルは廻していないので、前輪で起きあがった枝が、勝手に入りこんできたのだろう。真っ直ぐに起こそうと、グィっと力を入れた時だった。無常にもリヤメカは、ぶらりとエンドから外れてしまった。エンドのリヤメカを迎え入れるメスのネジ部分が、大きく変形して、楕円に広がってしまっている。おまけに片側が折れており、かろうじて首が繋がっている状態だ。エンドがいってたらオシマイだ。再出走は、どう考えても無理な気がしてきた。リヤメカは、とりあえず破壊していないようだ。(XTRで良かった。)とりあえず、エンドを曲げなおして、リヤメカを固定しようと思う。フレームからエンドを取り外し、曲げを戻そうとするが、びくともしない。石で叩いても、まったくもって無駄だった。後方から降りてきたサキムラに、「エンド持ってない?」と助けを求めてみるが、「ボルボには詰んであるんだけど・・・。」淋しい現実。「固定ギヤで走るしかないか・・・。」と落ち込んでいた時、下から声がかかった。「ここまで降りれば、コンクリートになってるから、再チャレンジしてみれば?」これが、運命の分かれ目だった。チェーンを切るのをストップし、担いで作業道を下りる。日の当る明るい場所だった。再度エンドに向ってチャレンジするが、やはり無駄だった。しかし、ここからは、簡易舗装だ。リヤメカを仮固定して、行けるところまで行ってみよう。引っ掛かるはずのない穴に、リヤメカをねじ込んでみると、なんとか固定(?)出来たみたいだ。ただエンドが内側に向いているため、トップギヤにしか入れられない。九死に一生を得た気分で、コンクリート舗装を下る。踏み込むのがコワイので、コーナーではなるべく減速しないよう・・・。
 
<なんとか走れそうな気がしてきた>
 
 集落が見えてきたところで、前方に集団を確認した。三浦君やサキムラや真鍋さん達だろう。しかし、集落を過ぎて、さらに進んで行ってしまった。ここからは、尾根への登り返しなのに・・・。狭い舗装路を登り始める。なんとかペダルが廻せるではないか。ギヤは、インナートップで固定だ。さすがに勾配がきつくなってくると、乗れないし、心配で、舗装だけど、担いで登り始める。そのうち林道に合流して、尾根道を快適に下るようになると、調子に乗って、あっという間にPC3に到着してしまった。リヤメカはなんとかなっている。朋ちゃんに、裕子のボルボはどこにいるかを聞いてみる。「裕子ちゃんはPC6にいるよ。」とのお答え。「なんとかそこまで辿りつければ、九重も越えられるのでは?」かすかな希望の光が見えてきた。
 志賀瀬川沿いの、緩やかなのぼりを、スプロケとプーリーが接触して奏でるイヤな音をBGMに進む。途中、なぜか小寺ちゃんとすれ違う。(九重を越えたかったので、とにかくPC8のELをクリアしたかったらしい。)PC4へのルートは、里山ルートだ。畑へのコンクリートの激坂を、仕方なく担いで登り、細いダートの作業道を下る。道端には、かわいいスミレの花が咲いている。PC4直前の、橋をくぐるルートは、あまりにマニアックだったぞ。島田君達からバナナを受け取り、リヤエンドが壊れたよと、いいわけを残して、PC5へと向うが、とうとう騙して乗れなくなってきた。コンクリート舗装を担いでいると、チェーンがスポークに当たる音が・・・。リヤメカは、チェーンのテンションで引っ張られ、どうにかエンドに引っ掛かっていただけなのだ。テンションが無くなると、外れてしまう。このままでは、ヘンに乗ってると、走行中に外れて、スポークに絡んで、それこそ、リタイヤとなってしまいそうだ。尾根に出るまでは、極力乗らずに担いだ。なんとかPC5に到着。充がいた。
 
<エンドはPC8に!>
 
 「ボルボはどこにある?」開口イチバン、まず聞いてみる。「磯ちゃんが乗って行ってるから、PC8だよ。」「ガーン!!」こうなると、腰をすえて補強しなければならない。PC8までは、どう考えても走れない。ここまで辿りついた経験から、リヤメカがくっついていれば、なんとか走れることがわかっている。ノスタケバックに入れていたガムテープが役に立つ時が来た。リヤメカをエンドに「引っ掛け」て、ガムテープで無理矢理固定する。こんなんでPC8まで走りきれるのか、多いに不安だが、「行けるところまで。」トップギヤ固定で、フロント3枚が有効だ。邦雄やタモツとは、そうとう差が開いているようだ。PC8から逆転するためにも、少しでも差を詰めておきたい。
 PC6では、バナナの叩き売りと化した裕子が、ポツンとひとり。「磯ちゃんに連絡つかない?」と、聞いてみるが、圏外らしい。ボルボから、サキムラ箱を出しておいてもらおうと思ったのだが。バナナをもらって、イザPC7へ。「適当な書き込み」区間では、実際の位置を考えながら、黙々と走る。それにしても、エネルゲンと赤飯お握りの食い合わせは、最悪だ。ブリーフィング通り、下って橋を渡ると、地図上のポイントに出た。PC7までの点線ルートの途中で、邦雄と辻田さんに追いつく。それにしても、クローバーの群生の中を走るルートは美しかった。所々に現れる「とれとれ」区間が楽しい。ここからPC8までは、邦雄とランデブー。邦雄が乗って行けるのに、僕は担いで行くこともしばしば。白丹の並行舗装路越えで、間違えた邦雄を呼び戻す。舗装区間は、一人よりも、先頭交替できた方が、有利だ。少しでもタモツとの差を縮めるためにも、協力が必要だ。それにしても、前3枚のギヤ変更だけでも、なんとか走れるものだ。
 R442の交差点を過ぎると、あとはPC8までは、久住高原を九重連山に向けて、ひた登り。インナー×トップでは、少々重め。いつのまにか、邦雄より先行し、蛇行しながらPC8に辿りつく。もっと早くに、ガムテープ固定をすれば良かった。無駄な脚を使わずにすんだのに・・・。
 
<まだまだこれから!>
 
 先行していると思っていたタモツがPC8でダウンしている。ペース配分か?この暑さか?補給のとり方か?とにかく、スグには走り出せない模様。ちょっと、安心。今の登りで、邦雄はけっこうキテルのがわかったし・・・。さっそく修理に取りかかる。ボルボから、サキムラ函を取りだし、エンドを探す。「あった〜!!」その昔、僕が取り寄せたエンドだ。これで復活、サキムラ感謝だぜ。邦雄が出発してから10分後、修理と補給を終えて、気分一新で九重に挑む。心も自転車も軽い気がする。

<九重を越える>
 
 登山道入口までの林道は、両側に牧草地が広がっている。タープを張って、のんびりと読書する人もいたりして、なんとも羨ましい世界だ。登山道に入ると、整備されたコンクリートの階段に閉口する。いったい何考えてこんな工事するんだか・・・。頼むから階段は止めてくれと、いつも思う。なるほど、ブリーフィング通り、全然乗れない。巻き道を終えて、谷を詰めるようになっても、岩や根っこで、担ぎが終わる事は無かった。あまりに長い担ぎに、左肩の担ぎも動員せざるを得なかった。途中、なぜか下方に邦雄を発見。(登山道入口を間違えたらしい。)追い付いてくるかと思ったが、等高線が混み出すと、次第に姿が見えなくなって行った。
 一つ目の峠を越えると、そこは美しいはずの湿原が広がっていた。が、すでに干上がったその佐渡窪には、木道だけがむなしく続いていた。写真機を背負った老夫婦とすれ違い、しばし談笑。「自転車、重くて大変でしょう。」「いや、カメラ機材の方が、重くて大変でしょう。」振りかえっても、邦雄の姿は確認できない。このまま一気に鉾立峠を越えてしまおう。さらば邦雄だ。調子よく登り、PC8から1時間ちょいで、峠に立った。登山者と、ここでも暫し歓談。なんと、MTBを持ってる人がいて、XTだXTRだの話しが通じてしまった。「ここ下れるの?」なんて聞くから、ガレガレの登山道を、お先に失礼!
 法華院温泉は、ゆっくり入りに来るとしよう。坊がツルにて振りかえると、九重連山の箱庭のようで、美しい。初めてここを訪れた人は、きっと別天地に映ったに違いない。いまどき、色とりどりのテントが並ぶ様なんて、上高地以外に見れないだろうなあ。やっと路面と呼吸が落ち着いたので、最後のお握りを頂く。まだまだ、先は長い。
 
 <PC9から>
 
 車両通行止めの、長くて快適な林道を飛ばすと、やっとPC9に辿りついた。加藤さんがあわててオレンジをむいてくれる。最高に美味い!1個分、一気食いだ。バナナをキープして、水をキャメルに入れるが、忘れ物。PC9を出発して、バナナを補給しようとしたら、無い!ポリタンクに置いたままだったらしい・・・。仕方が無いので、最後までとっておいたクリフバーを食す。これが、なかなかしっとりとしてて、美味だった。上手い具合に「やまなみハイウェイ」の下をくぐり、今オブシディアン最大の藪こぎルートに突入だ。道は明るい感じで、それなりに廃道化していくのかな?と楽観的になる。脚はタイツだが、暑いので、アームカバーは外している。明るい廃田圃が広がっている。しかし、そのうち藪がひどくなってくる。そして、とうとう倒木のオンパレードになってしまった。
 方角と地形的にはこのルートで間違いないのだが、あまりに荒れていて、自転車を持って進むのに、かなり難儀する。倒木を越えるのに、何度か自転車を放り投げた。(人間は下をくぐったりもする。)腕はひっかき傷で、痛がゆい。しかし、暑くて汗でベタベタで、ホコリやらで、アームカバーをする気になれない。しかし、道は、まだ西北西に向っている・・・。石組の補強があるところをみると、車でも走っていたのか?そんな事が信じられないような荒れ方だ。これでも、スタッフが伐採してくれたというのだから、いったいどんな状態だったのだろう。それでも、ここをルートに組み入れる気になったのは、他にルートがなかったからか?いじめたかったからか?たっちん、どうなんだ?書き込みよりも、実際はもっと下方を通っていたのだろう、川のせせらぎは、ずっと聞こえていた。やっと、道が北を向き始めた。「もう少しで乗れるようになる。」そう思うと、ちょっとだけ元気が出てきた。川を越える際、腕を洗う。冷たくて気持ち良い。気持ちを入れ替えて乗れるはずのルートに担ぎ上げる。だんだんと道らしくなってきて、やっと乗れるようになると、PC10に到着した。強烈だった。
 
<たっちんと走る>
 
 ここからは、舗装のルートだ。栗原へのコンクリートの激坂で、たっちんのヴァナゴンが後方から追い抜いて行く。ギヤは、勿論インナー×ローだが、「まだ先は長い。」と、ドラ焼きの補給だ。PC9でバナナを起き忘れてきたのが悔やまれる。激坂では、たっちんがビデオカメラを廻しながら、並んで歩く。こっちも、今日の経緯を、説明しながら走る。コースが最高な事、メカトラ遭遇や、修理した事、部品が無くてスプロケとプーリーがあたってウルサイ事、こんなキツイ坂で、ドラ焼きなんか食べてる場合じゃないぞ・・・って事。
 栗原の集落からは、小刻みなアップダウン。重めのギヤが踏めるので、グイグイ行く。後方からは、ビデオを廻しながらの、ヴァナゴンが追走。そして、広い舗装路に出ると、たっちんは、PC11へと、先行して行った。PC11では、ニコニコ顔でお出迎え。二人でだらだらと話しをする。
 
<125キロのSS2も、もうスグ終わり>
 
「走り甲斐あるね?。」
「最高のコースだね?。」
「あの藪漕ぎはスゴかった。」
「伐採しても1週間でジャングルに戻っちゃうんだよ。」
「何人、完走できるかね?。」
「ラストは何時にゴールかね?。」
「あ、そうそう、水ちょうだい。」
「タモツ、復活したかな?」
「まだまだあるね?。」
「お、リンゴも美味しいね。」
「弁当食べる?」
「それにしても、何リットルの水を飲んだかなあ?」
 
 そこからPC12までは、林道がメインで、センターギヤで行ける。フロントサスの具合が、小刻みな初期微動を吸収してくれる。謎の冷蔵庫を確認してからは、ガレた林道で、パンクに注意だ。台地状の、小国町の牧場からの景色は、最高に美しかった!ここから見る夕日は、きっと美しいのだろうな・・・。PC12では、暇を持て余していた島田君達がお出迎え。可哀想に、日の当らない、景色の悪い、ポイントだ。
「上の牧場、スゴク景色が良かったよ。」
「ちょっと歩いて、見に行ったよ。」
「蚊が多そうだね。」
「虫が多くて、湿っぽくて、ちょっとね。」
「たっちんに言って、場所を移動させてもらおうよ。」
「でも、ヤバインじゃないかなあ?」
「移動しても問題ないんじゃない?」
「この先、行き止まりなのに、けっこう車が上がってくるんだよね。」
「で、結局、引き返してくるんでしょ?」
「圏外なんだよ?、Jフォン!!」
「じゃあ、アリベから連絡入れてみるよ。」
 
 邦雄が遅れていると想像していて、かなり余裕だ。とりあえず、先にゴールすれば良いかと思っていたのだが・・・。でも、そうは甘くはなかった。まあ、当然な処置なんだけど。(ナニ?)もっと、早くにゴールしておけば良かったかな?ARRIVEEの手前のSTは、よく走りに行く都幾川村の山中みたいで、なんかホットしてしまう。枝に気をつけながら作業道を下っていくと、あっけなく充の姿が視界に入ってきた。「疲れた?!」と言いながら、道に寝転がろうかな?なんて、途中、走りながら考えていたけど、それほど疲労困憊でもなく、充とPC12の話しをしたりする。たっちんにケイタイをかけてみるが、届かない。思ったよりも早くに邦雄が到着。長い一日の健闘を称え合い、ハイタッチでお出迎え。せんべいの塩味が美味い。当分、後続は来ないだろうと、充を置いて、宿に向かう。今日は、木魂館だ。(Jシリーズの開催地で、MTBに理解がある。)
 
<食べきれないご馳走>
 
 リヤメカの、テンションアジャスターを、予備のリヤメカから移植して、修理が完了。これで、明日から、安心して走ることが出来るぞ!ところが、暗くなっても帰ってこない選手がいる。PC9通過者が10名だということで、タッキィーやサキムラ、三浦君達が、ライトをつけて走っているのだろう。ガンバレ!僕らは風呂に入ってデラックスしてから、8時を過ぎたところで、食堂に向う。遅い夕食だ。サキムラ達も、ジャージのまま現れた。お疲れ様、そして、完走させてくれてありがとう。(&larr;エンド)
 ここで、テーブルの配席を巡って、ひと攻防あったが、それは無意味な行動であった。バカ食いするであろうメンバーは、チリジリに席に着くが、夕食のボリュームは、ハンパでなかった。特産の今日の午後絞めてきたばかりの豚肉は、きれいに渦を巻いて積まれていたが、全てを平らげたテーブルは、ひとっつも無かった。どこのテーブルも、泣きが入っていた。夕ご飯の時間まで走っていたので、かなりの補給食を摂っていること、疲労で胃が働きにくいこと、そして、あまりのボリュームだったこと。コースも満腹だが、食事も満腹で、食べ過ぎか?美味しいのに食べることが出来ない、なんとも悔しい結果に終わってしまった。(でも一人テーブルに残って、格闘していました・・・。)ところが、残りは、翌日のスタッフのお弁当に使われる事に!(ヨカッタ。)
 
<SS3を控えて>
 
 ブリーフィングでは、真鍋さんホカ数名が、心地よい眠りに落ちていたね。明日も地図が10枚を越える。でも、川走りが楽しみだ!ところで、今日のエンド交換は、車からの部品の確保だったので、ペナルティで30分もらう。邦雄には、逆に20分の差をつけられたことになる。明日は、逆転を狙って、一気に行くしかない。どこでアタックをかけようか?それにしても、今日のコースは、どこを思い返しても、楽しかった。長い一日が終わる。
 

5/5(金) 【SS3:神の宿る岩スペシャル】 約110km
 
 今日のゴールは、日田の街だ。その昔、甲子園で有名になった「日田林高」がある。小国町からは、さほど離れていないのだが、昨日と違って、今日はループが基本のコースだ。それでも距離は130キロ近い。それにしても、毎日、よく走らせてくれる。感謝だ。今日は、どんなルートが待っているのだろうか?!天気予報が、連日の夏日を告げている。
 
<リエゾンは長かった>
 
 今朝も天気が良い。昨晩、あんなに夕食で苦しんだのに、朝食が、美味しい。長丁場のSSに、長いリエゾンを考慮に入れて、しっかり4杯食べたぞ。スタート時間までは、リエゾンも含めて、かなり時間があるのだ.(9時スタート)走るだけなら、エネルギーゼリーや、バナナだけでもなんとかなる。しかし、これが毎日続くとなると、話は別だ。体調の維持のため、いつもと同じメニューで走るようにしたい。その日の、半分までのエネルギーは、朝食で確保したい。僕には、やっぱり御飯だ。そして今日のお握りは、手作りだ!木魂館のスタッフの方々に謝々。
 のんびりと宿を発ったのは、邦雄、石丸、実走スタッフの木元っちゃんだ。4人で、のんびりとリエゾンを開始する。しかし、ちょっとした坂で、木元っちゃんが先行してしまう。邦雄と二人で、「ペース速い!」を連発。マップ3枚を経て、やっとDEPARTに到着。直前のショートカットで、一気に集団をパス。基本的には、木元っちゃんがだらだら下りをガンガンに引いてくれたので、心地よいアップになって、非常に助かった。それでも、1時間くらいかかったかな?
 
<鬼ヶ城牧場は最高!>
 
 竜門を9時過ぎにとれとれスタートしたが、いつもの通り、集団はワイワイやりながら、のんびりと和気あいあいと・・・。最初のピークの手前から、塚ちゃんが先行し始める。「今日こそ、暫定1位をゲットしてくれ!」集団内の誰もがそう願っていたのだが・・・。後方からスタッフのS-GLがやって来た。磯ちゃんだ。朋ちゃんが、助手席から写真を撮ってくれる。みんな、まだまだ元気いっぱいだ!ダートに入り、坂がきつくなったところでアクシデント発生。メガネの内側に、蜂が入って来た!首を振って、外に出そうとしたはいいが、バランスを崩して、転倒寸前。またもや、邦雄を巻き添えにするところだった。(惜しい!)牧場の入口の柵を越えると、そこは牛糞の天国だった。ここで、塚ちゃんはあっけなく高梨にパスされてしまい、またもや、暫定1位の夢は、はかなく消え去ってしまった。高梨、もう少し大人になれよ。ミチがカメラを構えて、待ってくれている。牛糞に気をつけながら、高度を上げて行くと、だんだんと視界が広がってくる。日本とは思えない、広い箱庭が目前に展開している。おとぎの国と言っては、場違いかな。なんというか、絵葉書の一枚のようだ。牧草地には、小さな可憐な花が、点々と咲き乱れ、昼寝には最高の景色と地形なのだ。しかし、牛糞に注意が必要なのは、残念なところだ。
 山の名前は、黒木山だった。ここからの風景を楽しんでいる牛から摂れる乳は、きっと美味しいに違いない。木元っちゃんが言うには、「N.Z.の、One Tree Hillの様だ」でも、僕は行った事がない。とにかく、一度は行ってみて欲しい。雑誌で紹介されたら、観光客がゾロゾロ来てしまうだろう。それほどまでに、美しい。場所を提供してくれた鬼ヶ城牧場の方に感謝。通過の許可をもらってくれたスタッフに感謝。
 
 <滑床は滑るから滑床か?>
 
 本日の最高の景色を楽しんだ後は、本日の最高のルートだ。本日の最高の担ぎポイントは、PC2の後。国道を数キロ走り、廃林道を下って行くと、滑床林道は、突然現れた。なんと表現したら良いだろうか?下手なコンクリート舗装より、ずっと滑らかな路面を、水が静かに流れている。水深は、5センチといったところか。林道として使用していたという話しにも、納得だ。うっすらとコケがあるのか、路面は、かなり滑る。ブレーキをかけても、直ぐロックしてしまいそうで怖い。ところどころ、斜めに溝があって、タイヤを取られたりもする。お陰で、ケツを濡らしてしまった!(後ろのポケットのお握りが心配だったが、無事だった。)ブリーフィング通り、車が走れないような場所は、脇に林道が通っていたようで、上を走る。タモツの調子が良さそうだ。ところどころに、緩やかな滝があり、乗って行こうか迷うが、結局押して下る・・・。高梨や小寺&深青ちゃんは、この滝で、存分に楽しんだらしいが・・・。(だから、前輪がポテチになるんだよ。)
 水面すれすれを、アオスジアゲハが飛んでいる。そういえば、今回のコースは、花も多かったが、蝶の舞っている姿を、あちこちで見かけた。ホントに、蝶の舞う姿は、とっても美しい。ちょっとコワゴワ、でも楽しみながら、奇声をあげながら、あっという間にPC1に到着。
「今日は最高の場所でのPCで良かったね。」
「昨日に比べたら、天国だよ。」
「転倒して濡れちゃったよ、ホラ。」
 島田君達、せせらぎで気持ち良さそうだ。このルートを、寒い雨の日に走ったら、地獄だったな。

<Wellcom to the Jungle!!>
 
 ずっと走れそうな奈女川を見ながら舗装路を下る。(そのマンマの名前やんか!&rarr;なめがわ)途中、コンクリートの激坂を登って、そして下ったが、あの部分は、川を行った方が楽だったかどうだったか・・・。PC2に着くと、今日からスタッフの岩崎君が、すっかり寛いでいる。この暑さにピッタリの、アロハシャツを用意しているとは、なんて用意周到なんだ!でも、エアガンで、的を射ないと先に進めない。3人でPC3への川沿いの舗装路を登り始める。気温がだいぶ上がって、照り返しが厳しく感じられる。そろそろ踏み始めようかな?センターギヤでグイグイ廻してみる。邦雄とタモツは、ちょっと後方に離れた。ここ岩屋川も滑床であるが、護岸工事が施されている場所もあり、もともとの滑床なのか、工事したコンクリートなのか、なんか、見分けがつかなくなっている。拡幅工事の前は、きっと川底を道が走っていたのだろうに。
 株ノ木の集落から林道に入り、滑床の川への侵入路で、二人に追いつかれた。まあ、これは予想通り。さっきの奈女川と違い、流れの少ない濁った滑床を、今度は、上流に向かって上っていく。倒木が多く、あまり乗ることが出来ず、ちょっと残念だ。退出路に従って、荒れた林道が尾根に向かって登り始めた。ピークを越えて、下ると、邦雄の姿が見えない。遅れたのか、ルートを探しているのか・・・。ここがターニングポイントになるのは、間違いない。牧場の建物から、林道に入って行く。ブリーフィング通りに進むと、いつしかSTに変わり、そのままジャングルとなってきた。伐採の苦労が痛いほどわかる。感謝しながらも、「また今日もかよ!」と、自転車を杖に、倒木を越える。QP2では、笑わせてくれる。「看板の裏には、Wellcom to the Jungle.」そこからは、この看板がなければ、絶対に入っていかなかったであろう担ぎが待っていた。
 いい加減勘弁してくれ、と思ったところで、林道に出る。あとは、これまた牧場までは、カットビだ。牧場からは、舗装路を下り、山移川沿いの集落に出た。ここでやっと40キロ。まだまだ半分にはほど遠いが、なんか妙に疲労を感じる。これは、どうやら暑さのせいみたいだ。タモツに、「邦雄が来てないけど、一緒に行く?」と聞いてみるが、平坦な舗装路で、次第に離れていった。一人で走りたいのか、邦雄との争いに加担したくなかったのか、それとも一緒に走ると潰れると踏んだのか?真意は定かではない。ここからは、一人で逃げてみようと決意する。PC3に到着する前に、お握りの二つ目を食す。
 
<孤独な一日が始まった>
 
 PC3でバナナを頂き、なぜか合流した高梨を確認して、次のポイントへ、先を急ぐ。「これからあそこ廻るのは、1時間はかかるぞ!」それにしても、なぜ、今頃PC2に到着なんだ?高梨!「壊れちゃいましたよ?。」と、笑っているだけだ。さっきと同じ岩屋川沿いの舗装路を上る。少しでも時間を短縮しようと、コーナーは、アウトインアウトのラインを選択する。もちろん車を確認の上だけど・・・。けな気だな??QP3手前の大城の集落は、なんかほのぼのとして、イイ感じだった。しかし、トンネルはいきなり出てくるし、登り返しはきつかったけれど、あまりにあっけなくPC4に着いてしまった。オオサンショウウオは、どこにいるのか?代わりに、昼寝してたヨ、アオダイショウが。入口も、まさにブリーフィング通り、人の家に入って行く感じ、そのまんま。PC4では、磯ちゃん夫妻がお出迎え。ところが、この先の書き込みが、やられた!って感じだった。
 コンクリの林道を、が―っと下って行く。書き込みの地図通りかな?しかし、ダートに変わってから、なかなかウィンカーの破片が出てこない。「さっき、西に曲がって、ダーッと下ったから、もうこの辺だよな。」林道は、何度も巻きながら、徐々に下って行く。現在地がつかめず、不安だが、ブリーフィングを信じて、少しずつ下って行くしかない。「こんなとこで、追いつかれたくねーなー。」「ウィンカーの破片、見落としたか?いや、そんなこと・・・。」自信なく、そろそろ下ると、やっとウィンカーの破片を確認。なんか、随分と西に下ってる気がしたんだけど・・・。藪の中に、はっきりとしたルートがあった。ちょっと安心。ところが、道なりにいくと、北に進んでいる。「おかしい。」地図では、西に向かって、ピークを越えるはずだが・・・。見渡すと、希薄であるが、西へのルートが確認できた。「こっちだ!」「これは、みんな見つけられないだろう。」と、一人で悦に入り、ピークを目指す。しかし! 藪が激しくなってくる。そのままピークを越えるのは困難な様相を呈してきた。比較的、まばらな北斜面を巻いて行く事にする。崖を降り、巻いてみるが、はたと我に返ってみる。周りの地形と、地図と、SUUNTOのコンパスを睨めっこ。焦らずに、じーっくりと考える。「ここ、あってるんか?」「こんなに難しいルートを行かせるわけねーだろう?」とりあえず、さっきの分岐まで戻ってみることにする。さらに、入口でウィンカーを確認する。ここであっている・・・。もう、15分はタイムロスしている。「素直に行こう!」完全に気持ちを入れ替えた。道なりに進むしかないのだ。そう思うと気が楽になり、ずんずんと進む。ブリーフィング通り、ススキの原になったではないか。
 よくわからないが、合っているのだろう。あっという間に林道にブチあたった。どう考えても、距離と方向が違うが、「この林道に出たんだ!!」と言い聞かせ、先に進むことにした。あとは、地図どおりで、けもの道と化した希薄なSTが続いている。ここの雰囲気も好きだ。まばらに生えた、小さな木々と、草むらのなか、可憐なスミレが咲いている。PC5には、島田君たち。せせらぎが爽やかな、林道の分岐点だ。「今日は、いい場所で良かったね。」
 
 <地図の半分が残っている>
 
 スタートから4枚の地図を消費して、とうとう後半戦だ。(まだ、半分かよ・・・。)滑床の川沿いの道を、アウターで踏んで行く。水遊びをしている家族連れがいる。さっきのPC1には、もう別のグループが車で入っていた。朝、走った国道が、上方を走っている。PC2からPC3は1時間のループだったが、実は、ここまでも大きなループだったのだ。これから、ルートは西へ西へと日田の街を目指す。一旦、国道と合流したら、九州自然歩道へと入って行く。PC6の内匠の池までは、整備された道を進むが、景色は最高なのに、整備しすぎ・・・。ビルの中じゃないんだから、あの階段はナントカしてくれ。ところで、ここを歩くハイカーはいるのか?PC6では、加藤さんに、毎度の事ながらオレンジをいただく。しかし、今日は、のんびりしていられないので、雑談も早々に、スタートする。
 九州自然歩道は、まだまだ続く。しかし、今度も勘弁の石畳だ。昔ながらの石畳であれば、風情を感じながら走ろうモノを、ただの中途半端なサイズの岩を敷き詰めただけでは、走りにくいだけだ。ところが、この先の風景に、「九州自然歩道も、イイとこ通ってるじゃん!」見直した。なんだろうね、この牧場の環境は。景色がいいところは、みんな牧場だ。ここは、尾根道を、牧場の有刺鉄線沿いに進むが、右手のくぼ地に広がる牧草地は、その両脇の奇岩を抱いた山に囲まれ、なんとも日本離れした景観を呈している。同じ九州の、屋久島を思い起こした。ベンチなんかがあって、休憩していけと言わんばかりだが、哀しいかな、今日はのんびりとしていられないのだ。この景色は、まぶたの裏にシッカリと焼きつけた。

<心安らぐ里山の風景>
 
 PC7へ降りて行く送電線巡視路の入口で、一息入れる。ちょっとヤバイかな?と思いながら、最後のお握りをほおばる。大丈夫、糸はひいていない。さすが、梅干のお握りは、長持ちする。ついでに小用もたす。激坂を下ると、ここも畑の脇の小さなお花畑だ。造られた花壇も美しいが、僕は、野に咲く小さな花に、心の安らぎをおぼえる。 PC7は、そんなのどかな谷あいの畑の脇に設置されていた。そうとう暑いらしく、タープを張って日陰を創り出している。夏のようだと言う。大分から、CUCCの後輩の古野が応援に来てくれている。僕よりも、サキムラに会いたかっただろうが、彼は、ここまで辿り着く事ができなかったらしい・・・。さすがにここでは、話しをして、だいぶ時間を消費した。居心地が良い空間だった。水分を補給して先を急ぐ。川底なんていう、ヘンな集落をかすめ、舗装路で、谷を詰めて行く。途中、いくつもの溜め池があり、奇岩との組み合わせが不思議な空間。南に進路がかわり、上り詰めると、QP4への入口だ。ダートの林道が尾根を気持ち良く下って行く。視界が開けた、見晴らしの良いルートだが、黄色いプレートを見過ごさぬよう、地図とコンパスと睨めっこ。しかし、黄色はあまりに目立っていた。ここを通りすぎる者は、一人もいないだろうと思われる。作業道を下りながら、STの入口を探す。白いテープがマーキングしてあるが、チト難しい。マーキングがなかったら、絶対わからないぞ。そうそう、QPの答えは、「最高ですか?」いや?、「もう最高!」だよ。そういえば、「今夜は最高!」とかいうテレビ番組があったような・・・。失礼しました。
 小さな分水嶺にある古後の集落には、廃校反対の看板が・・・。ここから2キロほど下った中野の集落に、小学校と中学校があった。忘れ去られたような小場の集落では、犬だけが吼えていた。そこから田圃の砂利道を踏み倒し、センターギヤで、コンクリの激坂を上り詰めると、ビデオを構えたたっちんが待っていた。PC8だ。まだ、体力的には余裕がある。
 
<最後の難関、一尺八寸山へ!>
 
「どう?掲示ボードへのアップはできてる?」
「電波が弱いんだよね?。」
「電話が通じないんだ。」
「アンテナが立ったり、立たなかったりで。」
「読めるけど、送れないんだ。」
「PC3で邦雄は何分後に来た?」
「20分くらいかな?踵の靴ずれが痛いみたい。」
「そうそう、水ある?」
「あと1時間くらいかな?」
 
 最後の登りに備えて、充分に補給をし、一尺八寸山に向かって、いざスタートだ。時計は、4時に近い。朝ご飯を食べてから、もう9時間たっている。緩い舗装路の登りを、アウターで踏んで行く。上り詰めると、このあたりによくある分水嶺っぽい三叉路だ。しかし、通る車は皆無。若葉が美しい。高花の集落から、コンクリートの激坂を登る。一尺八寸山への林道の始まりだ。ちょっと書き込みがずれているが、地図の谷をつめている。センターで登って行けるが、精神的にかなりきつくなってきた。「休んだほうがイイんじゃん?」身体がそう言っている。道のど真ん中で、足を着いて、一休み。とうとうトップテンに手を伸ばした。最後の切り札として残しておいたものだ。ドロドロの液体を、ひとくち流し込む。みるみる力が沸いてきた(ような気がした)。 気を入れなおして、林道に挑む。一気に標高を稼いだので、一気に展望が広がってくる。アウターに入れていたか否かは、覚えていないが、「これを乗り越えれば!」と頑張っている。
 スタート前に、プロフィールマップを確認して、「この登りが最後の勝負どころだな。」と思っていたが、邦雄やタモツ相手でなく、自分を相手に闘っているとは。植林地帯の網が現れた。しかし、そこからは、頂上は見えない。おまけに、日も陰ってきて、ヒューっと涼しい風が吹きぬける。頂上まで、担ぎでもうひと踏ん張りだ。トップテンの残りを飲み干す。しかし、ここからがケッコウ苦しかった。「伝導性のため、雷の時は近づかないように。」なんて注意の札がところどころにぶら下がった黒い網に沿って、わずかな隙間のルートを担いで行く。ペダルが網に引っかかる。倒木が網にもたれかかっている。ほとんど進行方向に並行に、その数3本。迂回ルートは若木が込んでいて、望めそうも無く、倒木を越えるしかない。枝に隠れた幹を探し、一歩一歩慎重に歩む。ズボっといったらヤバイ。ミチが実走した時、こんなのあったのかな?ほとんど平均台状態だ。なんとか乗り越え、再び網に沿って進む。網の中には、作業道が走りやすそうに続いている。「なんで、こんなとこ歩いてるんだ?」網からそれて、尾根までは、わずかに踏み痕がある。しかし、頂上まであと少しだと思うと、ペースが上がってくる。尾根からに出て、インナー×ローで、のろのろと頂上を目指す。
 
 山頂は、えらい賑やかだった。人が大勢いたわけではない。「難読山名コンテスト日本一」とかなんとかの看板がたくさん立っている。たしかに、「一尺八寸=いっしゃくはっすん」と書いて、「みおうやま」なんて、誰が読める?苦笑しながら山頂をあとにして、STを下る。ここからは、ロングダウンヒルが待っている。ダブルトラックの林道をアウターで踏んで下るとPC9。「やっほー!」ミチの熱烈歓迎が待っていた。
 
<結局、ひとり>
 
「選手が通過しないかと思ってたよ。」
「オレンジもらうね。」
「他に食べる人いないから、全部食べてもイイよ。」
「え?」
 
ARRIVEの岩崎さんからケイタイが入る。
 
「今、野津さんが来たところ。」
「40分後くらいじゃない?」
「え?!?、まだ40分も走るの?」
「そんなに走りたくないよ。15分にしてよ?。」
「15分で着くって!」
 
 カットビ林道は楽しいが、足の裏、クリートのあたる部分が痛い。ジャンプしたり、バランスをとったりすると、ふくらはぎが攣る寸前だ。ゴーグルをしていないので、涙も出てくる。集落を過ぎ、最後の書き込みにチャレンジだ。ブリーフィング通り、丸太数本橋が出てきた。合っている。廃田の脇を押し上げて、切通しからは、崩れかけた作業道。巻き道から、「川底」の旧STに移ると、がれた担ぎ下ろしだ。もうスグアリベだと思うと、苦にならない。苔で滑らないように注意しながら、あぜ道に出る。デパールから100キロチョイ。やっとこさ、アリベに到着だ。結局、PC9から35分くらいかかっている。「15分で来るんじゃなかったの?」
 アリベの撤去作業を手伝う。なんか、ヘンな気分。ちょっと淋しい。みんなとリエゾンしたい。下駄の工場があった。
 
<日田の老舗、若竹旅館>
 
 今日の宿、若竹旅館は、歴史ある佇まいだ。入口が2ヶ所あり、裏側は、「その昔、連れこみ旅館として使われたのでは?」というタモツの推理はあっているか?部屋の造りから、そう思ったらしいが・・・。風呂は、タイル張りのかわいいサイズで、二人以上は入れない。廊下は、途中(折れた)板の橋が渡っており、新館と旧館をつないでいる。(どっちが新館??)今日は、みんな比較的きれいで、夕食は、ラクにたいらげていた。さすがに4杯食べると、おかずが足りなくなってきて、余ったのをもらう事になる。「今日もメシがうまい!」今日は、サキムラも、リヤメカが壊れた。テンションアジャストボルトが折れたらしい。枝を巻き込むと、スグ折れるね。これからは、パーツを準備しておかなければ。今度は、邦雄のリヤメカに交換する。
 最後のブリーフィングは、残念ながら寝てる人もいなくて、8枚の地図の説明は、あっさりとしたものだった。途中、リエゾン的な区間があるらしい。赤飯お握りを買ってきてもらった。ありがとう。それにしても、今日も、大盛りのコース設定だった。黒木山のメルヘンな眺め、滑床川の水遊び、ジャングル!書き込み違いで迷ったルート、屋久島のような風景、最後にツラカッタ一尺八寸山への登り、昨日のようなスケール感はなかったが、紙芝居のように、次から次へと風景が展開して行く様は、まさしく、日本だった。
 

5/6(土) 【SS4:学問への道スペシャル】 約120Km

 毎日、最高の天気の中、最高の景色の最高のコースを、最高のスタッフのお陰により走ってきたオブシディアンも、とうとう、今日が最終日になってしまった。前腕の日焼けが痛いので、今日はアームカバーで行こう。
 
<疲労回復には、快適な睡眠が重要だ!>
 
 ところで、集団相部屋で、いかにして深い眠りにつくかは、毎日走りつづけるラリーレイドでは、食事の補給と同様に、非常に重要なファクターである。疲れすぎて眠れない、飲み過ぎで眠れない、食べ過ぎで眠れない、等々、これらはどうしようもないが、なんとか工夫して、スッキリと目覚めたいものだ。
1・物音、いびき等が気になって、眠れない。
2・早く寝たいのに、起きてる人がいて、電気が消えない。
3・喉が乾いて目が覚める。
 等々、こんな悩みが考えられるが、準備によっては、回避できる。僕は、イヤーウィスパーを愛用している。ずばり「耳栓」だ。最初は、耳の中に違和感を感じるかもしれないが、装着した途端、その効果には驚きのはず。耳に入れると、だんだん膨らんできて、「シャー」という音が、段々と小さくなり、感動するほど。飛行機の移動など、特に高音域がうるさい時には、効果絶大である。これで、隣りのいびきに悩まされることはないし、いつもより、深い眠りに落ちて行く事、確実だ。明るさは、アームカバーとかを、かけるだけかな?あとは、腕時計をして、ヴォルヴィックを枕元に・・・。(目が覚めた時、時間をスグに確認したい。)しかし、ここ「若竹旅館」」の敷布団は強烈だった。これを本当の煎餅布団と言うのか?薄いだけでなく、本物の煎餅のように、凹凸が激しかったゾ。起きた途端、腰が痛かった。

<送電線が消えてる>
 
 今日は、リエゾンが短いので、朝食は無理しないよう、2杯半に抑えたが、後半を考えると、どうも不安が残ってしまった。やはり、3杯食べておけば良かった。これは、反省。たっちんと二人、最後に旅館を出発する。街中は、凛と張り詰めた、平日の朝の活気がある。「ここは、ひな祭りになると、観光客がスゴイらしいよ。」と、たっちん。旧家では、雛人形を、入口付近に飾るらしい。
 自転車に乗った高校生と、すれ違う。しかし!良く見ると、ナンカ違うぞ。普通のママチャリなのに、ナニかが違う。どうやら、カゴが着いてないのが、その理由のようだ。ここ(日田)では、これが流行っているのか?みんな学生鞄はどうしてるんだ?不思議だ・・・。
 話しが横道にそれた。そう、送電線だ。地図には、デパールの脇を通って、池のほとりをかすめている送電線がある。しかし、すでにリエゾンの途中で、送電線が消えている事に気が付いた。たっちんによると、送電線が消えている事は、良くあるらしい。おそらく、より高電圧になり、統合されていったのだろう。送電線は生きているのだ。途中、巨大な製材の積み上げを発見し、またまた、日田林高を思い出す。畜産の香りがしてくると、デパールはすぐそこだ。
 
 <網に捕らえられる?!>
 
 デパールでヴァームをひと袋。8:30、マスドスタートだ。最後のスタート。淋しいような、ホットするような・・・。どんな展開が繰り広げられるのか?今日も、かなりの日差しが予想される。竜体山への舗装路の上りは、みんなで写真を撮りながら(高梨撮影)、のんびり。千倉ダムまでは、舗装路が続く。千倉ダム湖畔を過ぎ、道がダートになる頃になると、いつのまにか集団はばらけ、近くには邦雄くらい。くらげちゃんもいたが、何人かが先行している。(もちろん塚チャンも。)しかし、タモツが追いついて来たりする。(塚ちゃんと一緒に、横道にそれたらしい・・・。)「単純な林道メイン一本やり!コース」なのに。
 途中、カットビ林道の下りで、突然現れたカスミ網に捕らえられる寸前だったが、これにはビックリした。網の手前、10センチだった。真鍋さんは、タイヤがあたったらしいが、この時点でやばかったンだね。(進入禁止にしては、妙な封鎖だ。)
 
<集中力が欠けている>
 
 舗装路を下ってPC1。まだ何人か先行しているらしい。次はQPを目指す。タモツ達と、のんびり話をしながら林道を上る。ちょっと前にサキムラ達の集団が見える。地図も見ず、無意識のうちに、前に追い着こうとしている。いったいナンなんだ?この緊張感の無さは・・・。途中、左手に、「テレビ」と書いた小さな杭が目に入った。もちろん、STも。しかし、前の集団に連れられるように、林道を詰めて行く。するとサキムラ達が引き返してきた。「行き止まり。」なんてことは無い。さっきの「テレビ」の赤い杭が、正規ルートだった。ちゃんと入り口を確認してるのにねえ!
そこからは、林の中の暗いSTが続く。品ッチが足を着かないように頑張って上っているのが見える。担ぎで前に出ると、あっけなくQPに出た。ホント、なんでこんなところに?「NHK」ついでに、マップを確認する。「倒木」、「池を過ぎたら左に沢を渡る。」ふむふむ。道無き道を担ぎ下ろして行くと、石で組まれた段に出た。脇を見ると、藪の陰に干上がっている沼らしき空間を確認。邦雄やタモツは、沢を渡らず、どんどんと谷の右側を下って行ってしまう。「そっちでイイのか〜?」ちょっと立ち止まって地図とコンパスを確認する。「沢に降りてみよう。」すると、真ん中のデカイ岩に黄色い缶スプレーの矢印が。「これに違いない。」と確信して、左に渡る。ガレた作業道に出たので、パンクしないように注意して下る。坂を下りきると、そこに待っていたのは、れんげの花畑。休田なのか、廃田なのか、とにかく一面のれんげ。れんげ色ってわかるかな?とにかくキレイ。養蜂家が喜びそうだな。次々と降りてくるメンバーを待って、記念撮影大会。しかし、その頃、ちょっとした不注意で、真鍋さんがリタイヤに。
 
<こんな山奥でも仕事は出きるのだ!>
 
 邦雄やタモツと、舗装路を次のピークを目指して進む。林道の入口は、ビニールハウスが目印だ。次のSTに入るポイントは、林道が南に巻いて、南西に入る谷だが、スグ手前の書き込みの林道の分岐からの距離から、ひとつ奥の谷を担ぎ上げる。邦雄やタモツも一緒だ。そして、果敢に塚チャンは、どんどん登って行く。けっこうな急勾配だ。どうも、不安になり、塚ちゃんに様子を聞いてみたりもする。が、方角やら考えて戻る事にする。「戻るよ!」結局、さっき通りすぎた時に、「まだここじゃないよな。」と、思ったSTの入口から入って行くことになる。「昨日まではノーミスだったのに・・・。」と、タモツがしきりに頭をひねる。ピークを越えた辺りで、前方にサキムラ達の集団を発見。しかし、甘いんだなあ、西へと向かう違う谷に入って行くよ・・・。邦雄とタモツも引き込まれて行く。SUUNTOのリストコンパスで方角をチェック!「こっちだよ!」西南西の谷に進路をとる。クロスランドラリーっぽい、担ぎ下りだ。谷が南を向き始める頃、西側の尾根を越えるはずだ。杉の植林地を、足元に気をつけながら下ると、突然、立派な橋とミチが現れた。真鍋さんの報告をすると、すでに車が手配されているらしい。オレンジをもらいながら、しばし雑談。どんどん、みんなが下りてくる。
 と、その時だった。ケイタイがなっている。なんとサキムラが、補給を取りながら、仕事の電話をしている。商品の配送の手配で、指示をしているようだ。いつものふにゃふにゃした笑い顔ではなく、真面目なサラリーマンに戻り、口調も違う。
「こんなとこで、仕事すんなよ。」
「なんで、ケイタイなんか持って走ってんだよ。」
「こういう時のために、持ってるんだよ。」
「こんなとこで、よく繋がったなあ・・・。」
 一同、感心。そのうち、みんながスタートして行き、最後まで残っていたのは、僕だけだった。

<ブレーキシューの異音>
 
 再びSTに入ると、今度は乗れる。静かな植林作業道を抜けると、谷あいの田圃が広がっている。そして、線路の脇を走り、遮断機の無い踏切を渡る。ここで、一休み。ここからは、「ロードショウ」なので、レッグウォーマーを取り、快適に!ちょっと向かい風なので、集団で走りたかったところ。赤谷の集落からは、そこそこの上りになる。さっそくサキムラや、タッキィーの姿を発見する。邦雄やタモツは、そうとう先に行ってるのだろう。ところで、ここからが勘違い区間。まず、実線の道のクランクを、川を渡った橋の部分と勘違い。そうすると、つじつまが合わずに、迷走にひた走り。「工事中の道路を道なり。」のはずなのに、なぜか、古い作業道が出てくる。振りかえると、タッキィー達が、地図を確認した後、つづらの坂を上って行く。「イカン!」さっきの橋を渡ると思ったクランクが、ここらしい・・・。恥ずかしながら、再度、サキムラ達を抜いて、先を目指す。きちんと舗装路の工事中で、どうやっても間違えようが無い。次は、「4Km]の表示が目印だ。道が等高線に並行に巻き始めると、「○Km」の札が目に入るようになる。Bリーフィング通り、砂利の林道を上り、林道の終点付近まで。あとは、地図で方角通り、担ぎ上げて、尾根を行く。広蔵付近は、書き込みの実線が迷路のようだ。で、最短ラインを選択する。
 問題は、この後の林道の下りだ。赤飯お握りをほおばって、モグモグいわせながら、かっとんでいるつもり。どうも集中できないが・・・。丁度、地図の境目付近で、「アスファルト」の書き込みと、大城の集落が載っている。ダートはじきに舗装路へとなり、快調にスピードがあがる。本来なら、ここで地図を確認すべきだったのだが、邦雄との差が気になっていたんだろうなあ・・・。集落を確認するまで、ひたすら下りつづけてしまった。かなり細い道で、走りながら地図を確認している余裕はナイ。右のヘアピンカーブを曲がっていると、フロントのブレーキが、いつもと違う音を発している。「大丈夫か?」と、ブレーキに神経が集中する。ブレーキは命にかかわるから、マジだ。で、次の左ヘアピンにさしかかる。「大丈夫かな?」ヴィーンと、イヤな音がする。しかし、その次の右ヘアピンでは、異音はせず、その先、ヘアピンは現れず、ちょっと安心して、下って行った。「!!」なんかおかしい。谷が進行方向の右側のままだ。おまけに南に向かっているではないか。「今、どこだ?」立ち止まって、QPの広蔵山からの道を辿ってみる。「大城の集落は、マダか?」地図を差替えてみると、「ヘアピン曲がりきったところ」の書き込みが・・・。
 地図からは、どうやらはみ出してしまったようだ。なんたる不覚。現在地が地図上に無い不安の初体験だ。とりあえず、戻るしかない。「ここで邦雄に逆転されたら、後半の距離を考えると、挽回不可能だ!」焦りまくり!時計を見て、サスペンションをロックアウトして、アウターでダンシングだ。ヘアピンに戻ってきた。STと、林道の両方を確認するが、地図上のどこなのか、まだ確信が持てない。さらに間違っては、本当に取りかえしがつかなくなるぞ。さらに上ってみる。道のつき方や、距離を測りながら、ユックリと上る。左にヘアピンを曲がり、次に右に90度曲がったところで確信を得た!「さっきのSTだ。」引き返してから、ここまで10分。下りは倍のスピードだから、合計15分程度のロスだ。いかん。あとは転倒しないよう注意しながら、PC5へ。邦雄とタモツと辻田さんがいた。15分程度の遅れのようだ。(ちょうどロスった時間くらいだ。)助かった・・・。 それにしても、あのブレーキの異音は、なんだったんだ?
 

<リエゾン(?)はきつかった!>
 
 水をもらい、アームカバーにかける。ひんやりして気持ち良い。こんな事だったら、白のアームカバーを持ってくるんだった。黒いので、太陽光線を吸収して、ケッコウ熱い。(でも、直射日光の紫外線照射よりは、マシだ。)さて、ここからPC6までは、実質リエゾンだ。PC5の到着時刻に、2時間プラスした時刻が、PC6のスタート時刻になるらしい。到着タイムと出発タイムを書いた紙を渡される。よって、この区間では、2時間を有効に使って、体力を温存したり回復したり出来るはずだった。先行している者にとっても、精神的に有利なはず。それにしても、SS4も以外と長いぞ。朝食を控え目に摂ったので、お腹が心配だ。途中の秋月の集落で買い出しして、走りながら食べよう。向かい風の舗装路をのんびりと下り始めた。ケッコウ有名らしい観光地である「秋月」が楽しみだ。しかし、秋月の街では、補給食を手に入れる事ができなかったうえ、街並みを楽しむ事ができなかった。どこが街の中心か、わからなかった。車も走ってるし・・・、残念。仕方なく、ポカリの500ml缶を一気飲み。
 以外に効いたのが、ここからの白坂峠の上り。日差しがキツイのでこたえる。のんびりとパンを食べながら走るが、妙に一人ぼっちが淋しくなるような道だった。そして白石峠に着くと、辻ちゃんが立ち止まっていた。「もうあかーん。」どうやら、バテテルらしい。一緒に地図を確認するが、このまま指定ルートを走ったら、「PC6に間に合わんのとちゃうか?」という意見で一致してしまった。なにしろ、残りのルートは、地図1枚分あるのだ。それも、丘のアップダウン。ブリーフィングの時には目に入らなかったルートを発見。それは、白坂峠を下って、冷水峠を国道から越えるルートだった。「トレールとれーすじゃないなあ・・・。」と思ったが、この暑さや、補給が買えなかった事、間に合わないかも等々、イロイロ考えて、国道ルートを選択してしまった。まあ、「ここは、どこ走っても良いです。」と言われてるから、「しゃーないな!」心配していたわりには、PC6には、15分前に着いた。邦雄とタモツも、リエゾンでけっこう疲れた様子。「もう少し休んでから行く。」と峠でくたばっていた辻ちゃんも、到着。バナナやら、煎餅やら、もらえるものは食べて、回復をはかった後、再出発。「愛嶽山で待ってるよ。」と言い残した邦雄は、今どの辺りだろうか。
 
<最後のどんでん返し?>
 
 PC6をスタートすると、いきなりの登坂路だ。休みすぎた脚がだるくて、廻らない。「こんなことだったら、指定ルートを走って、ギリギリにPC6に入るんだった・・・。」あとのまつり。ゴルフ場付近で、ようやく脚も廻りはじめ、快調にダートを走る。昨日と同様、センターの重めのギヤで行ける。「267」付近では、地図に無い林道が自然に伸びていたが、現在位置を確認しながら進んでいたので、廃道っぽい林道を選択し、錆び付いた門を通る。尾根道に出たので一安心。ホットしたついでに、水分の軽量化をはかる。そこからも、まったく地図通りで助かった。実線と点線の平行区間では、巡視路がこっちに降りてきて、その先でまた上がって行くという、予想通りの展開だ。あとは、巡視路を西に向かって下るだけだ。正屋の岩崎君がお出迎え。「8分くらいだよ。」いつのまにか、差が縮まっている。「あれ?おかしいなあ。」
 次はPC8への最後のとれとれルート。昨晩の充のブリーフィングが、妙に一生懸命だったところだ。「そんなに詳細に説明したら、誰も間違えないじゃんか!」なんて心配しながら聞いてた。「電線と一緒、畑を見る」と、書き込んである。それらしき場所を通過。「うん、確かに電線と一緒だ。」方角も距離も合っている。「大丈夫だ。」「蕗(フキ)」確かに、蕗が生い茂っている。邦雄のSKのパターンが地面に残っている。「尾根左」「竹やぶ」このあたりは、あまり記憶に無い。なんせ、その直後に、地図に穴があくほど見直したから・・・。

<最後の大どんでん返し>
 
 「沼」の書き込みの手前の、点線の分岐にやって来た。谷を一つ巻いて来ている。地図をよーく見る。谷が出会う地点だ。尾根も二つ目。先の尾根を、北西方向に担いで行く。踏み痕というか、確かに道が続いている。「ヨシ、これだ!」クモの巣を払いながら、さらに進む。「オレがトップだな。」左手に沼を発見。一応、沼のほとりもチェックしに降りる。どう見ても、道は続いていない。「それなら、さっきの道なりだ。」どんどん、担ぎのペースも上がって行く。「急がないと、追いつかれるぞ!」しかし、どんなに担いでも、方角が変わらない。というか、だんだんと北北西に向かっている。ここでまた冷静に地図とコンパスをにらめっこ。「谷が違うぞ!わかるところまで戻ろう。」必至に走って戻る。結局、谷の出会いまで戻ってしまう。「なにやってんだか・・・。」そんな時、タモツらしい声が聞こえた。「やばい、発見される。」できれば、一緒には走りたくないのだ。再度、地図とコンパスを睨めっこ。「やっぱりこっちで合っている。」大急ぎで担いで走ると、沼の先で、さっきは発見できなかったが、道らしい空間を発見。藪の中、ぽっかりと空間がある。「なんだよ、これかよ!」さっき、間違えて入って行った、北北西の谷の方が、しっかりとした道に見えたぞ。後で聞いた話だが、充がしっかりと伐採してくれたらしい。サービス良すぎるぜ。この頃、邦雄とタモツと僕の3人は、かなりの狭い空間に存在していたらしい。さっきのタモツは、パンク修理をしていたとのこと。邦雄も、どの時間かはわからないが、沼地をさまよっていたらしい。おかしいね。さらにクモの巣を払いながら、ひたすら担ぐと、やっと、尾根に出た。「やったあ!」あとは、巡視路を西北西に下るだけ。もう間違わない。PC8では、トップに立っていた。加藤さんに、またもやオレンジをいただく。今回は、オレンジと言えば、加藤さんの顔が浮かぶ。
 ここからは、ARRIVEまで、もう少しだ。もう余裕が出てきて、大宰府天満宮では、観光客と化す。名物の焼餅まで食べながら、ユックリと参道を流す。それにしても、大宰府天満宮の裏に、あんなレトロな遊園地があったなんて!歴史道を辿って、大宰府跡のアリベに突入。浜ちゃんが出迎えてくれた。コーラにポテチが美味い。木元っちゃんも買い出しありがとう。次々とゴールしてくるエントラント。みんな、大満足の表情にあふれている。それにしても、最後の最後で、迷わせてくれた。なかなかスパイスが効いたSSだったぜ。「完全優勝できた・・・。」正直、ちょっと嬉しかった。でも、サキムラのおかげだ。
 

<<未完>>