公衆送信権・送信可能化権・伝達権



公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として、無線又は有線通信の送信を行なうことをいい ます。

公衆送信のうち、同一内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信が「放送」であり、

有線通信で行なうものが「有線放送」ということになります。

また、公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に送信するもの(放送又は有線放送に該当するものを除く)を「自動公衆 送信」といい、

公衆回線に接続されているサーバー上に情報を入力し、自動公衆送信し得るようにすることを「送信可能化」といいます。

(定義)
第二条
七の二  「公衆送信」とは、公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設 備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の 占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
 八 「放送」とは、公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の 送信をいう。
 九 「放送事業者」とは、放送を業として行なう者をいう。
 九の二 「有線放送」とは、公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う 有線電気通信の送信をいう。
 九の三 「有線放送事業者」とは、有線放送を業として行う者をいう。
 九の四 「自動公衆送信」とは、公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当する ものを除く。)をいう。
 九の五 「送信可能化」とは、次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
 イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続 することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。) に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体 に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報 が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に 情報を入力すること。
 ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動 公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの 起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。

なお、文化庁作成の著作権テキストによりますと、放送法上の放送と著作権法上の放送とはその取扱いが異なっており、その内容は、 下表のようになっています。

区分不特定の人向けの同時無線送信特定多数の人向けの同時無線送信   備考
放送法   放送   通信    ---
著作権法   放送   放送通信という概念なし

(定義)
第二条
5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

公衆には、特定かつ多数のものを含むとなっていますので、「公衆」とは、「不特定の人」と 「特定多数の人」を意味することになります。
不特定の人ですから、希望する人にはAという歌の歌詞をFAXで送りますとした場合、例え結果として応募者が一人だったとしても 公衆送信となり、著作者の承諾が必要となります。
特定多数とは、例えば、あるアーティストのファンクラブの会員が該当し、会員宛にファンクラブの会報をインターネットを経由して 配信する行為は公衆送信となります。文化庁の著作権テキストの中では、「多数」については、ケースによって異なるが、 一般には、「50人を超えれば多数」と言われていると解説されていますが、例えば、一般人が集まってできた30人の音楽愛好会 メンバーに第三者の楽譜を配信する行為は、公衆送信になるかもしれません。この辺は、法律の運用の問題です。

著作者は、その著作物について公衆送信する権利(送信可能化する権利を含む)を持っています。

(公衆送信権等)
第二十三条  著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う 権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

第23条第2項に「著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。」 とあります。これは、「伝達権又は公衆伝達権」と呼ばれるものです。例えば、渋谷駅前の大型モニターにアーティストの ビデオクリップがよく流されていますが、そのビデオクリップが公衆送信されたものを流しているとすれば、この伝達権の行使 ということになります。

日韓共催のサッカーワールドカップのときに国立競技場はじめ色々な場所で他会場で開催されていた試合模様について大型 ニターを使用してパブリックビューイングが行われていましたが、あのパブリックビューイングの権利関係について検討して みたいと思います。著作物を公衆送信し、公衆送信された著作物を公衆に伝達する 権利は著作者が有していますので公衆送信された著作物をパブリックビューイングするためには著作者から許諾を得る必要があり ます。それではスポーツ中継はどうなるでしょうか。スポーツそのものは芸能ではありませんので実演ではありません。 実演ではありませんから実演家の有する著作隣接権もありません。それでは、テレビで放送されるスポーツ中継は映画の著作物 と言えるのでしょうか。映画の著作物に関する定義条項をみると、

(定義)
第二条
3 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、 かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

となっていますので物に固定されていないスポーツ中継は放送時点では映画の著作物ではありません。しかし、放送事業者は、 放送した番組の複製権を所有していますので放送した後に放送した番組を複製して例えばDVD化すれば、そのDVDは映画の著作物 になります。

スポーツの生中継が映画の著作物ではないとすれば、生のスポーツ中継番組は著作物ではありません。著作物でなければ 著作権もないということになります。しかし、放送事業者は著作隣接権者として 放送番組の複製権、再放送権、有線放送権、送信可能化権、公衆伝達権を持っていますので、放送番組の視聴者又は受信者が 放送番組を無断で再放送、有線放送、送信可能化、公衆伝達することはできません。

サッカーワールドカップについて言えば、主催者であるFIFAが 興行権を持っており、その権利(当該興行の支配権)に基づき競技を実況し、放送する権利を放送局とか広告代理店に許諾 していたと思います。従って、FIFAは著作者ではありませんが、興行主として自己が主催するイベントに関して全ての管理 権限及び処分権限を持っていますので、自己の権限に基づき、契約上 その処理(利用)方法について許諾することができることになります。放送事業者のサッカー中継、パブリックビューイング も、直接的又は間接的にFIFAとの契約に基づき、FIFAの許諾のもとにサッカー中継及びパブリックビューイングを行っていた はずです。

映画の著作物の著作権の帰属について再度確認しておきたいと思います。

第四款 映画の著作物の著作権の帰属

第二十九条  映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、 その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
2 専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。) の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。
 一 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、自動公衆送信 (送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力すること によるものを含む。)を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利
 二 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利
3 専ら有線放送事業者が有線放送のための技術的手段として製作する映画の著作物 (第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての 当該有線放送事業者に帰属する。
 一 その著作物を有線放送する権利及び有線放送されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利
 二 その著作物を複製し、又はその複製物により有線放送事業者に頒布する権利

オリンピック、サッカーワールドカップのようなスポーツイベントについての権利関係を整理してみたいと思います。 当該スポーツの組織委員会がスポーツイベントについて、その内容、開催場所、開催時期、実行方法、その他当該イベントの全ての 運営方法について企画、決定をします。その中でスポンサー探し、放送権の販売、取材申込受付、キャラクターの作成、グッズの販売 等が行われるわけですが、その中で放送権の販売が最も重要でかつ高価なものになるものと思われます。組織委員会は放送枠を国別に 広告代理店を通じて、又は直接放送局に対して販売し、直接又は広告代理店を経由して放送権を購入した放送局が実際に競技内容を 中継し、放送することになると思われますが、放送局が購入した放送権を利用して製作した放送に関する権利は誰がどこまで持つこと ができるのでしょうか。

(複製権)
第九十八条  放送事業者は、その放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、 又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する。

放送事業者は、その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する、と ありますから、自らが製作し、放送したスポーツイベントについて録音録画し、任意に処分できるような感じをうけますが、放送 事業者は著作権者ではなく、著作隣接権者です。興行主(主催者)は自らの興行について全ての支配権を有しますから、 興行主が自分が主催するスポーツについて放送権は許諾しても複製権を許諾しなかったら、放送事業者は放送だけしかできなく なってしまいます。

放送事業者は、そのテレビ放送について、大型モニター等に映して公に伝達する権利を専有していますが、 これについてもスポーツイベントに関して言えば、主催者の許諾を得た 場合のみ自ら製作した放送についてパブリックビューイングができることになります。

(テレビジョン放送の伝達権)
第百条 放送事業者は、そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いて その放送を公に伝達する権利を専有する。

公衆送信権については、以下の場合にその権利が制限されます。

(営利を目的としない上演等)
第三十八条
2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送し、又は専ら当該放送に 係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に 接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3 放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的と せず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を 用いてする場合も、同様とする。

第2項の規定は、難視聴解消のため、又はマンション等における共用アンテナから受信した放送番組をマンション内の各戸へ、有線 放送し、又はIPマルチキャスト技術による再送信する場合、また、第3項の規定は、町の食堂に置いてある家庭用テレビを通じて食堂 のお客さんにテレビ等を視聴させる場合が該当します。

ついでながら、平成18年12月にIPマルチキャスト放送の開始を前提にした著作権法の一部改正が行われました。

(著作隣接権の制限)
第百二条
3  著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法 (昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつて は、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。)において受信されることを目的 として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。) を行うことができる。ただし、当該放送に係る第九十九条の二(放送事業者の送信可能化権)に規定する権利を有する者の権利を害 することとなる場合は、この限りでない。
4  前項の規定により実演の送信可能化を行う者は、第一項において準用する第三十八条第二項の規定の適用がある場合を除き、 当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利(実演家の放送権又は有線放送権)を有する者に相当な額の補償金を支払わな ければならない。
5 前二項の規定は、著作隣接権の目的となつているレコードの利用について準用する。この場合において、前項中「第九十二条 の二第一項」とあるのは、「第九十六条の二」と読み替えるものとする。

第3項において、制限されているものは、実演家の送信可能化権です。すなわち、
放送される実演は、
当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として、
情報入力(IPマルチキャスト技術による)方式により、
送信可能化することができます。ここで、対象は、「放送された実演」ではなく「放送される実演」となっていますので同時再送信 する場合に限られます。また、ただし書きにより、放送事業者の許諾を得ていないものについては、実演家の送信可能化権は制限されません。すなわち、 放送事業者の許諾を得た放送番組のみ、実演家の許諾を得ることなく、IPマルチキャスト放送ができるということになります。

第4項及び第5項の規定により、実演又はレコードの放送番組をIPマルチキャスト技術により有料で再送信を 行う者は、実演家及びレコード製作者に相当な額の補償金を支払わなければならなくなります。

参考までにインターネットで楽曲を配信する場合のJASRAC規定をここに再掲します。この内容は、TOPICS欄 にある、9月14日から10月19日まで連載した音楽著作権ビジネスの中のインタラクティブ配信の項の抜粋です。

インターネットの普及に伴いインターネットを通じた音楽の利用は益々重要になっています。使用規定の本文に 入る前に、理解を促進するために、まず、備考での説明を先に見てみたいと思います。

(用語の定義)(抜粋)
@ 用語の定義
(ア) 商用配信
商用配信については次の3つの場合が該当するとしています。
1) 情報料を得る場合
2) 広告料を得る場合
3) 収入の有無に関わらず営利を目的とするものが行う配信。従って、会社が自己のサイトから行う音楽の配信は全て商用配信と なります。

(イ) 非商用配信
非商用配信は以下の場合が該当します。
1) 非営利団体が営利を目的とせず行う配信
2) 非営利のグループが営利を目的とせず行う配信
3) 個人が営利を目的とせず行う配信
但し、以下の場合は、上記に該当する場合であっても商用配信となります。
a) 商業用レコード等の配信
b) 着信音の配信

(カ) 着信音専用データ
総再生時間が45秒以内のものであって、受信先の端末から他の記憶装置への複製ができないもの

(キ) 音声番組
楽曲のほかにナレーションその他楽曲でない音声を伴う番組

(ク) サブスクリプション
契約者が配信契約を解約した後、直ちに視聴不可能になるサービスとして、1サービスメニュー内の多数の楽曲データ又はコンテンツ 若しくは音声番組を送信可能にし、回数制限なくダウンロード形式により配信する利用形態をいう。解約後6ヶ月以内に視聴不可能に なるものを含む。

(コ) 情報料
インタラクティブ配信の利用の対価として利用者が支払う料金

(サ) 広告料等収入
インタラクティブ配信を行うにあたり、情報料以外に得る収入。サイトの広告収入等を指すらしい。

(シ) サービスメニュー
ホームページ等のサービスのなかで、単独のサービスとして一般に認識されるよう明示されている単位をいう。
(これだけでは、どういう単位なのかよくわかりませんが、着メロとか着歌とかですかね?)

(ス) 外国の著作物
JASRACの委託者ではない外国の音楽出版社が著作者との間に音楽出版契約を締結した音楽著作物(詩と曲)で、かつJASRAC著作権 信託契約約款第16条の定めに基づき、使用料規程第4節出版等の許諾の際の使用料を委託者の定める額としている著作物をいう。

(セ) 試聴
音楽利用の促進を目的として行われるストリーム形式の配信をいい、情報料、広告料等収入を得ないもので、総再生時間が45秒以内のもの。 歌詞又は楽譜を30%以上マスクして配信する場合を含む。

(ソ) データ保管代行
本規定による許諾を得た事業者が、専ら個人向けに、当該事業者が配信したデータの保管領域を無償で貸与するもので、保管領域の 貸与を受けている個人以外には著作物データへのアクセスを認めないものをいう。

(タ) 媒体費
広告掲出のために広告媒体事業者へ支払う費用。

(使用料算出単位)
A ホームページ等の1サービスメニュー毎に算定する。

(商用配信規定の取扱の特例)
B  略

(情報料の取扱の特例)
C 情報料がある場合で、月額定額制など、リクエスト1回あたりの情報料が定められていない場合は、情報料をリクエスト可能回数で 割って、1曲あたりの情報料を算出する。但し、サブスクリプションサービスを除く。
D 利用促進キャンペーン等のために情報料を減額又は免除している場合、使用料を本来の情報料に基づき算出する。

(音楽を利用している広告に関する特例)
E コマーシャル送信用録音の許諾を得たコマーシャルをストリーム形式又は再生可能な期間に制限のあるダウンロード形式により 配信する場合で、使用料を広告関係事業者が支払うときの月額使用料は、1コンテンツ1リクエストあたりの媒体費単価の5%に月間の 総リクエスト回数を乗じて得た額または5000円のいずれか多い額とする。媒体費単価、又はリクエスト回数が不明の場合は、媒体費 総額の7%又は5000円のいずれか多い額とすることができる。

(広告料等収入の取扱)
F 1ホームページにおいてサービスメニュー毎に広告料等収入を区分できない場合の取扱については、利用者の選択により、以下の いずれかを選択することができる。

(ア) カウント/解析が容易な場合
広告料等収入=サービスメニューがあるページのページビュー数/ホームページ全体の総ページビュー×広告料等収入総額
(イ) カウント/解析が容易でない場合
1サービスメニューあたりの広告料等収入=サービスメニュー総数/広告料等収入総額
音楽を利用していないサービスメニューの数が音楽を利用しているサービスメニューの数の5倍より多い場合は、按分する サービスメニューの数について、音楽を利用していない5サービスメニュー毎に1ずつ加えることができる。

(使用料の免除)
G データ保管代行を行う場合で、予め届出があり、JASRACが認めたものについては、使用料を免除する。

H 次のいずれかに該当する試聴を行う場合で、予め届出があったものについては使用料を免除する。
a) インタラクティブ配信を行うものが、受信者にリクエストをさせる画面と同一画面で当該リクエストの対象となる著作物を試聴 させる場合。
b) 適法に収録された商業用レコード等の利用を主たる目的とする商品を製作又は販売するものが、当該商品の販売促進のために、 自らのホームページにおいて当該商品に収録された著作物を試聴させる場合。
c) 実演家、レコード製作者またはこれらにかかる著作隣接権を有するものが、自らのホームページにおいて、自ら当該実演、レコード にかかる著作物を試聴させる場合。

(規定が複数適用になる場合の取扱)
I 略。JASRACの使用料規程をご覧になってください。

(音楽を広告に利用する場合の取扱)
J 本規定が適用となる利用方法により、商品やサービス広告のために音楽を利用する場合は、予め著作者の同意を得なければ ならない。

この規定は著作者人格権を意識した規定だと思われます。広告の対象である商品やサービスの内容と自分の曲のイメージ、思想が合致 しない場合は、その使用を許諾しないということもあり得ます。

(送信可能化されている著作物の使用料)
K インタラクティブ配信に関する使用料には送信可能化にかかる使用料を含む。

以上が備考にある規定なり、説明です。本文規定の理解を深めていただくために、あえて備考を先に俯瞰させていただきました。 それではインタラクティブ配信に関する使用料規定を見ていきたいと思います。

1. 包括的利用許諾契約を締結する場合
(1) 商用配信(リスニング用、カラオケ用、着メロ・着歌を利用することを主たる目的として配信する場合)
@ ダウンロード形式
(ア) 楽曲データを配信する場合の月額使用料
a) 再生可能な期間に制限がない場合
広告料収入の有無に関係なく情報料がある場合は、1曲当たりの情報料の7.7%又は7円70銭のいずれあ多い額に月間総リクエスト数を 掛けた金額。
広告料収入があって情報料がない場合は、6円60銭、広告料も情報料もない場合は、5円50銭となる。
最低使用料は月5000円であるが、送信可能化日数が月に5日以内の場合は、1日につき1000円となっている。
b) 受信先の記憶装置から他の記憶装置への複製ができないもので、受信先おいて受信先における受信した音楽の再生可能な期間が7日 超の30日までの場合
前号の規定における7.7%又は7円70銭が5.6%又は5円60銭に、6円60銭が5円に、5円50銭が4円50銭となっています。
最低使用料は前号の規定と同様になっています。
c) 受信先の記憶装置から他の記憶装置への複製ができず、かつ、再生可能期間が7日までの場合
各々、4.5%又は4円50銭、3円85銭、3円50銭となっています。月額最低使用料は同様です。
d) 着信音専用データの場合
広告料収入の有無に拘らず、情報料がある場合は、情報料の7.2%又は5円いずれか多い額となり、情報料がない場合は、1曲5円と なっています。最低使用料は同様です。

(イ) 音声番組の月額使用料
a) 再生可能な期間に制限がない場合
(ア)a)のそれぞれの場合において、7.7%又は7円70銭又は3円80銭、6円60銭又は3円30銭、5円50銭又は2円70銭となっています。 月額最低使用料は同様です。
本規定においては、7円70銭又は3円80銭、6円60銭又は3円30銭、5円50銭又は2円70銭というように 二重価格が設定されていますが、どういう場合にどちらの金額が適用されるのか備考にもその説明がありません。何故、二重価格の 設定がされているのかその目的はよくわかりません。
b) 受信先の記憶装置から他の記憶装置への複製ができないもので、受信先おいて受信先における受信した音楽の再生可能な期間が7日 超の30日までの場合
前号の規定における7.7%又は7円70銭又は3円80銭が5.6%又は5円60銭又は1円40銭に、6円60銭又は3円30銭が5円又は1円20銭に、 5円50銭又は2円70銭が4円50銭又は1円10銭となっています。最低使用料は同様です。
c) 受信先の記憶装置から他の記憶装置への複製ができず、かつ、再生可能期間が7日までの場合
使用料はそれぞれ、4.5%又は4円50銭又は1円10銭、3円85銭又は96銭(但し、再生可能期間が3日又は再生可能回数が3回までの制限が あり、かつ再生時間が10分以内の場合は楽曲数に関係なく、月間リクエスト数×2円50銭)、3円50銭又は80銭(但し書は同じ)となっ ています。
月額最低使用料は同じです。

(ウ) サブスクリプションの月額使用料
a) 受信装置において契約解約後直ちに楽曲の利用が不可能となる場合、(月間情報料+広告収入)×7.7%、又は77円×月間総 加入者数のいずれか多い額。
情報料も広告収入もない場合は、55円×月間総加入者数。
月額最低使用料は5000円。
b) 受信装置において契約解約後6ヶ月以内に楽曲の利用が不可能となる場合、上の数字がそれぞれ12%又は120円、85円になります。
月額最低使用料は同様です。

A ストリーム形式
送信可能化する楽曲数に関わらず下表のとおり。但し、1曲(音声番組)毎に情報料が課金される場合は、情報料の4.5%又は4円50銭の いずれか多い額に月間総リクエスト回数を掛けた金額又は下表の最低使用料のいずれか多い額。
なお、情報料、広告料のいずれもない場合は、年額50,000円(1年に満たない場合は5000円×利用月数)。

 
サービスメニュー区分 使用料率
主として音楽により構成されるもの (月間情報料+広告料)×3.5%
一般娯楽 (月間情報料+広告料)×2.5%
スポーツ・ニュース等音楽の利用比率が低いもの (月間情報料+広告料)×1.0%
最低使用料 月5000円。送信可能化日数が5日以内の場合、1日につき1000円

(2) 商用配信(歌詞または楽譜を可視的に配信する場合)
@ ダウンロード形式、又は印刷可能なストリーム形式
(ア) 楽曲データを配信する場合の月額使用料
広告料収入の有無に関係なく情報料がある場合は、1曲当たりの情報料の10%又は10円のいずれあ多い額に月間総リクエスト数を 掛けた金額。
広告料収入があって情報料がない場合は、6円60銭、広告料も情報料もない場合は、5円50銭となります。
最低使用料は月5000円ですが、送信可能化日数が月に5日以内の場合は、1日につき1000円となっています。
但し、外国の著作物の月額使用料は2に定める額又は率となります。
(イ) 受信側のプリンタで印刷可能なサブスクリプションの月額使用料は当分の間前号(ア)を適用。
(ウ) 受信側のプリンタで印刷不可能なサブスクリプションの月額使用料は、解約後直ちに楽曲の利用が不可能になる場合は、 (月間情報料+広告料)×10%又は100円のいずれか多い額に月間総加入者数を掛けた額。
情報料も広告料もない場合は55円×月間総加入者数。
最低月額使用料は、5000円。

A プリンタで印刷できないストリーム形式
当分の間、(1)Aの規定を適用。

(3) 商用配信(音楽以外の著作物を利用することを主たる目的として配信する場合)
@ ダウンロード形式
(ア) 再生可能な期間に制限がない場合
広告料収入の有無に関係なく情報料がある場合は、1曲当たりの情報料の6.2%又は6円20銭のいずれあ多い額に月間総リクエスト数を 掛けた金額。
広告料収入があって情報料がない場合は、5円30銭、広告料も情報料もない場合は、4円40銭となる。
最低使用料は月5000円ですが、送信可能化日数が月に5日以内の場合は、1日につき1000円となっています。
(イ) 受信先の記憶装置から他の記憶装置への複製ができないもので、受信先おいて受信先における受信した音楽の再生可能な 期間が7日超の30日までの場合
前号の規定における6.2%又は6円20銭が4.5%又は4円50銭に、5円30銭が3円85銭に、4円40銭が3円50銭となっています。
最低使用料は同様です。
(ウ) 受信先の記憶装置から他の記憶装置への複製ができず、かつ、再生可能期間が7日までの場合
各々、3.6%又は3円60銭、3円20銭、2円80銭となっています。
月額最低使用料は同様です。
(エ) サブスクリプションの月額使用料
受信装置において契約解約後直ちに楽曲の利用が不可能となる場合、(月間情報料+広告収入)×5.8%、又は58円×月間総加入者数 のいずれか多い額。
情報料も広告収入もない場合は、44円×月間総加入者数。
月額最低使用料は5000円。

A ストリーム形式
送信可能化する楽曲数に関わらず下表のとおり。但し、1曲(音声番組)毎に情報料が課金される場合は、情報料の3.6%又は3円60銭の いずれか多い額に月間総リクエスト回数を掛けた金額又は下表の最低使用料のいずれか多い額。
なお、情報料、広告料のいずれもない場合は、年額50,000円(1年に満たない場合は5000円×利用月数)。

 
サービスメニュー区分 使用料率
主として音楽により構成されるもの (月間情報料+広告料)×2.8%
一般娯楽 (月間情報料+広告料)×2.0%
スポーツ・ニュース等音楽の利用比率が低いもの (月間情報料+広告料)×0.8%
最低使用料 月5000円。送信可能化日数が5日以内の場合、1日につき1000円

(4) 非商用配信
@ ダウンロード形式
同時に送信可能化する楽曲10曲毎の年額又は月額使用料は下表のとおり。但し、外国の著作物で歌詞、楽譜を可視的な利用をする場合の 使用料は2に定める額又は率になります。

一般〜50,000円/年。利用期間が1年に満たない場合は、利用月数×5000円。
個人による営利目的以外の利用〜10,000円/年。1年に満たない場合は、利用月数×1000円。同時に送信可能化する楽曲数が10曲未満の 場合は1曲あたり1200円/年、1年に満たない場合は、利用月数×150円。
営利を目的としない教育機関による利用〜上記の数字がそれぞれ、20,000円、2,000円、2,400円、300円となります。

A ストリーム形式
利用形態、同時に送信可能な楽曲数に関わらず、以下のとおり。

一般〜30,000円/年。利用期間が1年に満たない場合は、利用月数×3000円。
個人による営利目的以外の利用〜10,000円/年。1年に満たない場合は、利用月数×1000円。同時に送信可能化する楽曲数が10曲未満の 場合は1曲あたり1200円/年、1年に満たない場合は、利用月数×150円。
営利を目的としない教育機関による利用〜上記の数字がそれぞれ、20,000円、2,000円、2,400円、300円となります。

2. 包括的利用許諾契約によらない場合
1曲1リクエストあたりの情報料の20%又は歌詞、楽曲それぞれ20円のいずれか多い額を上限として別途決定。