上映権



(定義)
第二条
 十七 「上映」とは、著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて 映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。

上映とは、「著作物」をスクリーンその他のものに映写すること、とありますから、映写するものは映画だけに限られず、例えば、 学会等で研究論文をOHPでスクリーンに映す行為も上映となります。

映写幕その他の物に映写することですから、映写するものはスクリーンに限られず、例えば美術館のLANサーバー上に展示されている 絵画や彫刻のデジタル写真やビデオをオンデマンドで構内LAN回線を通じて館内の端末のディスプレイ上に表示することも上映になりま す。

「公衆送信されるものを除く」とありますから、通信回線を通じて送信された画像を街頭の大型ディスプレイに表示して通行人に その画像を見せる行為は上映権ではなく、公衆送信権及び公衆伝達権の行使となります。

第二条
 七の二 「公衆送信」とは、公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信 設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、 同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内( )にあるものによる送信(プログラムの 作物の送信を除く。)を除く。)は公衆送信には該当しませんから、漫画喫茶等で共有サーバー上にDVDをアップしておき、顧客がい つでも当該DVDを端末にダウンロードできるようにしていれば、これは公衆送信権の侵害ではなく上映権の侵害になるものと思われま す。また、漫画喫茶でCDやDVDを顧客に貸し出していれば、これは、貸与権の侵害になりますので、権利者から貸与権の許諾を得る必要が あります。

(上映権)
第二十二条の二    著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。

上映権は以下の場合、その権利が制限されます。

(営利を目的としない上演等)
第三十八条   公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを 問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、 上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われ る場合は、この限りでない。

従って、村の公民館で、無料で開催する映画鑑賞会は、上映権の行使ではありますが、権利者は何らの請求権も行使することはでき ません。

5  映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的と して設置されているものを除く。)で政令で定めるもの(*)は、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受け ない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該 映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利(頒布権)を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定 する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

* 著作権法施行令
(映画の著作物の複製物の貸与が認められる施設)
第二条の三  法第三十八条第五項 の政令で定める施設は、次に掲げるものとする。
 一 国又は地方公共団体が設置する視聴覚教育施設
 二 図書館法第二条第一項 の図書館
 三 前二号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は公益法人が設置する施設で、映画フィルムその他の視聴覚資料 を収集し、整理し、保存して公衆の利用に供する業務を行うもののうち、文化庁長官が指定するもの
2 文化庁長官は、前項第三号の指定をしたときは、その旨を官報で告示する。